2022 Fiscal Year Research-status Report
Multimodal imaging analysis of oral cancer cells focused on lysosomes
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21K10047
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
角 忠輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (80284701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
山口 優 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (50823308)
門脇 知子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (70336080)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リソソーム / 口腔癌細胞 / マルチモーダルイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞が浸潤と転移を起こすのは、リソソームが細胞外へ分泌される事と深い相関がある。近年、我々はリソソーム性タンパク質の発現レベルを抑制すると浸潤と転移が低下する事を示した。そこで本研究では、口腔癌においてリソソームがどのように細胞や生体の機能に影響を与えるかを様々なイメージングを用いて明らかにする。複数の方法を組み合わせて行うことでリソソームからの分泌がいつ、どのように起こるのかを分子から細胞、さらに個体レベルへとマクロからミクロレベルの解析を行う。本研究は不明な点が多く残されていたリソソームによる癌細胞の浸潤と転移について種々のイメージング解析を用いて解明する。昨年度および本年度は以下のような実験を行った。 1)リソソーム遺伝子変異扁平上皮癌における浸潤能の変化:口腔扁平癌細胞株であるHSC2、 HSC3、HSC4、 OSC20、 SAS、Ca9-22の6種類に対して、カテプシンKの定量とカテプシンKノックダウン細胞の確立した。 2)カテプシンK阻害薬での扁平上皮癌における浸潤能の変化:口腔扁平癌細胞株6種類でのカテプシンK阻害剤であるOdanacatibを用いてコントロールと阻害薬投与細胞と比較し、浸潤能はMatrigel invasion chamberを使用して測定した。またリソソーム性プロテアーゼをどの程度分泌しているのか、カテプシン群の基質を用いて活性を測定した。 2)カテプシンK過剰発現細胞での扁平上皮癌における浸潤能の変化:口腔扁平癌細胞株6種類でのカテプシンK-過剰発現細胞を正常細胞と比較し、浸潤能はMatrigel invasion chamberを使用して測定した。またリソソーム性プロテアーゼをどの程度分泌しているのか、カテプシン群の基質を用いて活性を測定した。 4)癌細胞でのリソソーム分泌機構:共焦点顕微鏡を用いて上記の口腔扁平癌細胞株にカテプシンKをラベルして浸潤能との一致を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔扁平癌細胞株であるHSC2、 HSC3、HSC4、 OSC20、 SAS、Ca9-22の6種類について、HSC2、HSC4、SAS、Ca9-22のカテプシンKのmRNAレベルは、比較的高かったのに対し、HSC3とOSC20のCatK mRNAレベルは低かった。タンパク質の発現レベルでは、ウエスタンブロットの結果からHSC2およびHSC4でのカテプシンKの発現レベルが高く、OSC20での発現レベルが中程度であり、HSC3、Ca9-22およびSASでの発現レベルが低いことが分かった。そこでカテプシンKの発現レベルが高いHSC4を用いてカテプシンK阻害剤であるOdanacatibを処理すると、コントロールに比べ浸潤能が低下していた。またカテプシンK過剰発現細胞はカテプシンKの発現レベルが低いHSC3細胞を用いて行った。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平癌細胞株6種類に対するリソソーム性プロテアーゼについて種々のカテプシン群の基質を用いて活性を測定している。現在、共焦点顕微鏡を用いて上記の口腔扁平癌細胞株にカテプシンKの動態と浸潤能との相関を検討している。また、癌細胞でのリソソーム分泌機構、特にマウス担癌モデルでのリソソーム分泌と浸潤転移の蛍光イメージングについて、予備実験を行っている。今後はin vivoにおける一連の転移現象をマルチモーダルイメージングで観察する予定である。
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Causes of Carryover |
未使用が90万円余になっている。これは口腔癌細胞でのカテプシンKの定量や浸潤能の実験については、従来購入していた試薬類を使用したことによる。このため、本年度新規購入する試薬類が少なかった。今後は残予算を含めて予定通り、マウスの生体内イメージング解析に必要な試薬類の購入に充てる予定である。さらにコロナ禍の影響で学会発表がすべてオンライン開催となり、旅費が発生しなかったのも原因の1つである。次年度はさらに論文投稿費やそれに付随する英語論文校正費などにも使用する予定である。
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