2023 Fiscal Year Research-status Report
歯科鎮静の呼吸器合併症防止を目的とした呼吸音と歯科治療器具からのノイズの特徴解明
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21K10072
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
清水 慶隆 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (10294597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
貞森 拓磨 広島大学, 病院(医), 研究員 (40437611)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 誤嚥リスク / 呼吸モニタリング / 咽頭残留 / AI解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
鎮静中の気道開通性を維持するためには頭部後屈顎先挙上、スニッフィングポジションなどの頭位保持が有効な手段であることは周知の事実である。しかし一方で, 唾液や水分嚥下の観点からみると 気道開通を促す体位は必ずしも嚥下に対して有利なく、鎮静中の体位管理は“息のしやすさ”と唾液や水分喋下のしやすさを両立する必要があり、体位管理が不適切な場合、唾液または水分感下の代償機能が作用しなくなり鎮静中の誤嚥やむせの原因となる。2022年度までにAI解析アルゴリズムを最適化し嚥下定量を実施し、2023年度は歯科鎮静を受ける60人の患者を対象に、前向き観察研究を実施した。プロトタイプの音響モニタリングシステムで、頸部から取得した吸気音をAI解析し、上気道の液体貯留指数(STQV)を算出した。口腔内への注水前後と治療前と咳嗽時のSTQVを比較した。歯科鎮静中に14例の患者で咳嗽が観察され、カプノグラムで31例の無呼吸を検出した。しかし、このうち27例には呼吸音が確認された。さらに、歯科鎮静中に咳をした患者では、咳の直後にSTQVが大幅に上昇していた。研究結果より、AIを用いた新しい音響モニタリングシステムは、上気道の咽頭貯留を高感度かつリアルタイムに判別することで、歯科鎮静時の誤嚥リスクを軽減する可能性が示された。 また、咽頭残留は嚥下機能と大きく相関する。本研究では咽頭残留物を飲み込む際に生じる嚥下音についても、AIによる音響解析で指数化する試みを実践している。嚥下音の指数解析についても有用性が確認されたため、ALSとパーキンソン病患者を対象とした探索的観察研究を実施した。結果として嚥下障害患者の飲み込みの強さをAI解析で指数化することが出来ることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に実施した特定臨床研究の成果成果発表として、国際学術誌に2報の論文が掲載された。本研究の研究成果により、AIを用いた新しい音響モニタリングシステムで上気道の液体貯留を高感度かつリアルタイムにモニタリングすることが可能となり、歯科鎮静時の誤嚥リスクを軽減する可能性が示された。また、嚥下音のAI解析による指数化についてもALSとパーキンソン病患者でフィージビリティーを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で副雑音判別モデルの新たな課題が浮き彫りとなった。具体的には感度は実臨床に利用するのに十分なレベルであることを確認したが、特異度はやや低いため、センサーの改良による解析性能の向上を検討している。 また、2023年度の研究成果発表としてさらに1報の論文を投稿中であるため、1ヵ年研究期間を延長しセンサーの改良と追加の成果発表を実施することとした。
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Causes of Carryover |
2023年度の成果発表のうち、論文1報が査読途中となっておりAPC等の経費が2024年度に必要となる。また研究成果物の課題として特異度の改善を行う必要があり、センサー改良も継続して行うこととした。
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[Journal Article] New acoustic monitoring system quantifying aspiration risk during monitored anaesthesia care.2023
Author(s)
Shimizu Y, Ohshimo S, Saeki N, Oue K, Sasaki U, Imamura S, Kamio H, Imado E, Sadamori T, Tsutsumi YM, Shime N.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 18
Pages: 21196-21196
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Usefulness of new acoustic respiratory sound monitoring with artificial intelligence for upper airway assessment in obese patients during monitored anesthesia care.2023
Author(s)
Shimizu Y, Saeki N, Ohshimo S, Doi M, Oue K, Yoshida M, Takahashi T, Oda A, Sadamori T, Tsutsumi YM, Shime N.
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Journal Title
Journal of Medical Investigation
Volume: 70
Pages: 430-435
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Detailed findings of videofluoroscopic examination among patients with Parkinson's disease on the effect of cervical percutaneous interferential current stimulation.2023
Author(s)
Nakamori M, Toko M, Yamada H, Hayashi Y, Haruta A, Hiraoka A, Yoshikawa M, Nagasaki T, Ushio K, Yoshikawa K, Shimizu Y, Mikami Y, Maruyama H.
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Journal Title
FRONTIERS IN NEUROLOGY
Volume: 14
Pages: 1279161-1279161
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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