2021 Fiscal Year Research-status Report
PXDNによるがん代謝と微小環境を標的とした口腔癌の治療ストラテジー
Project/Area Number |
21K10077
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
栗原 都 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40453170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹平 智則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90405374)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / PXDN / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞と間質細胞との相互作用により形成される微小環境が、がん細胞の増殖・浸潤・転移や治療抵抗性にも深く関わることが明らかとなっている。申請者らはperoxidasin(PXDN)ga 口腔癌局所の乳酸とATPの産生亢進とROSの産生、ならびにHO-1との相互作用により微小環境の形成に寄与することを既に報告している。 本年度はPXDNがんの微小環境を形成する機構についての検討をおこなった。その結果、small proline-rich protein 1B (SPRR1B)を見いだした。SPRR1Bは扁平上皮への分化に関わるマーカーと考えられており、扁平上皮化生を示す気管支粘膜では高発現しているのに対し、胃や肺の腺癌では発現レベルが低いことが示されている。SPRR1Bは高分化型の口腔癌細胞であるHSC4細胞でより高発現しており、 SPPRR1BをノックダウンしたHSC4細胞ではケラチノサイトのマーカーであるinvolucrinとkeratin 1の発現と培養上清中への分泌が低下した。また、SPRR1BはMAPK p38のリン酸化レベルを誘導することで細胞増殖にも関与することも明らかとなった。口腔癌検体を用いた検討では、高分化型扁平上皮癌において有意に高いSPRR1Bの発現が確認された。 これらの結果、高分化型口腔扁平上皮癌はSPRR1Bにより角化が亢進するだけでなく、MAPKを介した細胞増殖を誘導する可能性が示唆された。細胞分化を指標とした新たな口腔癌治療の展開が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SPRR1B以外の分子についての機能を解析することが不十分であったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度以降は新たな分子の機能につういて重点的に解析する予定である。
|