2022 Fiscal Year Research-status Report
歯周病菌感染は脳卒中の発症および予後予測因子となりうるか?
Project/Area Number |
21K10210
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
青木 志郎 広島大学, 病院(医), 講師 (10457236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祢津 智久 広島大学, 病院(医), 講師 (10457260)
西 裕美 広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯周病菌 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】歯周病菌感染が脳卒中の発症や転帰に関連していることは近年様々な研究により明らかとなってきている。我々も、主要な歯周病菌の一つであるFusobacterium nucleatumに対する血清抗体価が高値であることが急性期脳梗塞および脳出血患者の3ヶ月後の転帰不良の独立した因子であること(PLoS ONE. 2020)を過去に報告している。しかしながら、実際に口腔内に存在している歯周病菌量が脳卒中の転帰にどのような影響を与えるかについてはこれまで詳細な検討はされていない。【目的】口腔内の舌苔に含まれる歯周病菌量を測定し、歯周病菌量と転帰や白質病変との関連を明らかにすることを目的とする。【方法】2022年4月から2022年7月までの間に当院および共同研究機関に入院し研究の同意を得た急性期脳卒中患者を登録し、舌苔に含まれる歯周病菌量と背景因子、画像所見、3ヶ月後m-RSとの関連を統計学的に解析した。歯周病菌量はreal-time PCR法を用い、舌苔に含まれる全菌量に対する6種類の歯周病菌量の割合を測定した。【結果】99例の患者が登録され、発症前m-RS≧4の症例を除外した92例を解析対象とした。平均年齢は70.9±15.7歳、男性の割合が66.3%(n=61)、入院時NIHSSの中央値は2[1-6]だった。発症3ヶ月後の転帰不良例(m-RS≧4)の割合は21.7%で、転帰不良例ではFusobacterium nucleatumの菌量が有意に多かった(p=0.0005)。また、Fusobacterium nucleatumの菌量は深部白質病変の重症度に独立して関連した(p=0.049)。【結論】小血管病の発症にFusobacterium nucleatum感染が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
急性期脳卒中患者の舌苔および歯垢からの歯周病菌の採取は予定通り順調に集まっており、細菌量測定も問題無く進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
患者登録および検体採取は全て終了しており、リアルタイムPCR法による細菌量の測定を行い、脳卒中患者の転帰や頭蓋内病変と口腔内感染症との関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
昨年購入予定だった実験用の物品を購入しなかったため次年度に回すこととした。次年度に全て使用予定である。
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Research Products
(1 results)