2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔内にランチビオテクス産生細菌保菌することは腸内細菌叢撹乱の原因となりうるか
Project/Area Number |
21K10218
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
米澤 英雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60453528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 健一 日本大学, 歯学部, 教授 (60381810)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ランチビオテクス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、腸内細菌叢の解析が飛躍的に進展され、腸内細菌叢の構成異常(dysbiosis)は全身的な疾患である自己免疫疾患、生活習慣病(肥満、動脈硬化、糖尿病など)や自閉症などの原因となることが明らかとされている。 一部の口腔内細菌はランチビオテクスと呼ばれるバクテリオシンを産生する。ランチビオテクスはグラム陽性細菌に対して強い抗菌活性と広い抗菌スペクトラムを示す抗菌物質である。これまで小児69名の唾液及び便検体を用いた解析より、ランチビオテクスを産生する細菌を口腔内に保菌する小児では、腸内細菌の多様性の減少、Firmicutesの占有率の低下を起こすことを明らかとしてきた。このような現象は、ヒトに定着している細菌が腸内細菌叢のdysbiosisの原因となり得る可能性を示していた。一方で対象数の少なさや、小児だけでの現象であることなど、改善点が残されている。本研究では大人を対象とした、大規模検体での「口腔内にランチビオテクス産生細菌を保菌することは腸内細菌叢dysbiosisの原因となる」ことを証明するものである。さらにランチビオテクス産生細菌の、産生メカニズムの解明、産生されたランチビオテクスの性状解析、新規ランチビオテクスの探索も行う。 得られる結果は、口腔内細菌叢検査や口腔ケアにより、腸内細菌叢の管理、そして全疾患の予防といった全身マネジメントが可能であることを示すことができる、口腔ケアの重要性について示すことができるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに目標とする500検体の唾液と便を採取し、細菌DNAの抽出を行った。唾液検体中のランチビオテクス産生に関わる遺伝子の検出は現在450まで進めている。またS. mutansが産生するロイテリサイクリンの産生メカニズムに関する解析を行い、現在論文発表の準備を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液検体よりランチビオテクス産生遺伝子陽性群と陰性群とにグループ分けし、16s RNAメタゲノム解析により腸内細菌叢の構成細菌をグループ間にて比較検討を行う。口腔内で産生されたランチビオテクスが腸内細菌叢構成細菌に与える影響について検討を行う。また唾液より分離できたランチビオテクス産生細菌を用いて、ランチビオテクス産生のメカニズムについて検討を行う。
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Causes of Carryover |
キットの購入予定が、入荷が間に合わず、翌年度に持ち越しとなったため
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