2023 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内にランチビオテクス産生細菌保菌することは腸内細菌叢撹乱の原因となりうるか
Project/Area Number |
21K10218
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
米澤 英雄 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60453528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 健一 日本大学, 歯学部, 教授 (60381810)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔内細菌 / バクテリオシン |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔には700種類、多い人では1兆個を超える細菌が棲息している。口腔は食物・飲料を摂取する開口部であり、消化管へ繋がっている。唾液には1mLあたり約109-1010個もの口腔内細菌が含まれ、おおよそ1500億から1兆個の口腔細菌が1日で腸管へと流入している。口腔細菌叢主にレンサ球菌属が存在しているが、一部の口腔レンサ球菌属細菌は抗菌物質(バクテリオシン)を産生することが報告されている。う蝕原因細菌であるStreptococcus mutansが代表的なバクテリオシン産生細菌である。これまで口腔レンサ球菌が産生するバクテリオシンの一種であるランチビオテクス(Muacin I/IIIまたはSmb)を産生する細菌を口腔に保菌することが、腸内細菌叢のdysbiosisの原因となり得ることを、小児69名の腸内細菌叢解析結果より得ている。本研究ではより明瞭に「口腔内にバクテリオシン産生細菌を保菌することが、腸内dysbiosisの原因となる」ことを証明するため、他の口腔内細菌が産生するバクテリオシンについて検討を行った。S. mutansが産生するバクテリオシンであるロイテリサイクリンは、多種細菌へ強い抗菌活性を示すこと、またユニークな発現システムを保有していることを明らかとした。こうした結果を反映させて500人の成人から採取した唾液および便検体の解析を行った。腸内細菌叢のdysbiosisは、全身的な疾患である自己免疫疾患、生活習慣病(肥満、動脈硬化、糖尿病など)や自閉症などの原因となるため、口腔ケアにより腸内細菌叢の管理、疾病予防といった全身マネジメントが可能であることを証明することが出来ると考える。
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