2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of study design and evaluation method for Phase I clinical trials in the development of new infectious disease vaccines
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21K10298
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長村 文孝 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90282491)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染症ワクチン / 第一相試験 / 試験デザイン / 評価方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
SARS-CoV-2流行は世界的な問題であるが、新興感染症によるパンデミック防止も世界的な課題である。本邦ではSARS-CoV-2に対する予防ワクチンの開発では遅をとったが、他の感染症への新規ワクチンも海外製品が承認されている状況が長期間続いている。研究代表者は、新規ワクチンの開発支援と医師主導治験実施支援を多く行ったが、有害事象評価、試験デザイン策定において難渋することが多く、First-in-human (FIH)試験を適切に実施するための情報集約と試験デザイン策定の基本方針策定の必要性を認識している。本研究においては、新規感染症ワクチンをレギュラトリーサイエンスの手法に基づいたFIH試験デザインとして開発するために、試験デザインを構成する項目の新たな検討を行う。これにより新規ワクチン開発をより迅速で信頼性の高いものとし、ひいては新興感染を含めた感染症の征圧に寄与することを目的としている。研究の方法としては、臨床試験登録サイトや文献検索による情報収集と解析、研究代表者が支援を行った開発品目についての規制対応や臨床試験の結果の解析等を行う。令和3年度は、2000年以降に発表された予防ワクチン第一相試験をPubMedより抽出して、FIH試験として解析可能なものをピックアップした。また、jRCTとClinicalTrials.govに掲載されているFIH試験の抽出を行った。支援した開発品目については、評価方法を含めた研究デザインの見直しを行った。その過程において、従来用いられてきた有害事象評価方法では、3つの有害事象について過剰評価となり高い割合で有害事象となることが判明し、その対応を含めて検討した。また、RS戦略相談・対面助言の資料等を取りまとめ、令和4年度以降の解析の基礎資料となるよう準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における研究実施項目とロードマップは、①公開情報の取りまとめ(臨床試験登録サイト、学会抄録、論文、法規・ガイドライン):令和5年度まで、②研究代表者が支援・終了した開発品目の資料の取りまとめ:令和3年度、③臨床試験を実施中あるいは計画の開発品目のデータ収集と取りまとめ:令和5年度まで、④第一相試験のデザインの検討:令和5年度まで、である。令和3年度の各項目の進捗状況は以下の通りであった。①公開情報の取りまとめ:論文は2000年以降に発表された予防ワクチンのFIH試験を抽出・入手し、内容の検討を開始した。臨床試験登録サイトは、jRCT、UMIN、JAPIC、JMACCT、ClinicalTrials.govを対象とし、FIH試験に該当する試験を抽出した。当初は令和3年で終了する予定であったが、予防ワクチンの開発が加速しているため、より情報を収集すべく令和4年度も引き続き実施することとした。法規・ガイドラインは国内と米国FDAより入手した。②支援した開発品目の資料の取りまとめでは、5品目について規制対応資料あるいは公開資料を取りまとめた。1品目については既存資料の観察研究として資料を解析し有害事象評価について、広く使用されている評価方法では3事象が多く発生する懸念があることがわかり、対応を検討した。③実施予定品目のデータ収集と取りまとめ:医師主導治験を含む開発品目について試験デザインの観点から必要な情報をとりまとめた。④第一相試験の試験デザインの創出:有害事象評価について検討する必要があることが判明し、令和3年度に開始した試験ではそれを反映するように試みた。RS戦略相談を実施した品目があり、その結果あるいは得られた情報を取りまとめた。このように令和3年度は概ね計画通りに進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
各実施項目における今後の計画と、本研究における取りまとめは以下のとおりである。①公開情報の取りまとめ:令和3年度に抽出したFIH論文と臨床試験情報を引き続き実施し、取りまとめデータベース化する。令和4年度も情報を更新し最終的には令和5年度にデータベースを完成させる。当初データ収集は令和3年度までを計画していたが、新規ワクチンの開発が加速しており、よりデータを収集するため令和4年度以降も引き続き実施することとした。そのため、データベース作成に必要な消耗品や入力人件費は繰り越し令和4年度に充てることとした。学会抄録は令和4年度より情報収集を開始し、法規・ガイドラインは情報を更新しつつ、令和4年度はEMAより発出されている情報を収集する。③臨床試験実施開発品目について:1品目は令和3年度より医師主導治験が開始されたので試験デザインが治験の進捗とデータ解析にどのように働いているかを検討する。他の品目は非臨床試験段階が進んでおり、品質/製造と非臨床安全性試験における規制対応等の情報が試験デザインにどのように活用するかを検討しながら情報を取りまとめる。④第一相試験の試験デザイン創出:①から③の情報を活用し、有害事象評価、コホートの設定、エンドポイントの設定等について検討を行う。トランスレーショナル・リサーチについて学部あるいは大学院生に教育を行うことの重要性が認識し始められている。令和4年度では研究代表者が受け持つ大学院教育にて本研究で得られた成果を盛り込み新規ワクチン開発に関する内容を取り入れて実施する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の流行が遷延しており、新規ワクチン開発が当初の想定よりも活発である。開発情報の収集は当初の計画通りであった。しかし、より多くの情報を取りまとめたほうが本研究においては有用であることから、令和4年度も引き続き実施してからデータベースとして取りまとめるたることとした。そのため、データベース作成について、入力に関する人件費、記録・保存の媒体等の出費として実施は令和4年度に本格的となるため繰り越しを行った。研究には遅れはなく、より多くの情報を活用するための措置である。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Assessment of Oral MucoRice-CTB vaccine for the safety and microbiota-dependent immunogenicity in humans: A Randomized Trial.2021
Author(s)
Yuki Y, Nojima M, Hosono O, Tanaka H, Kimura Y, Satoh T, Imoto S, Uematsu S, Kurokawa S, Kashima K, Mejima M, Nakahashi-Ouchida R, Uchida Y, Marui T, Yoshikawa N, Nagamura F, Fujihashi K, Kiyono H.
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Journal Title
The Lancet Microbe
Volume: S2666-5247(20)
Pages: 30196-8
DOI
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