2022 Fiscal Year Research-status Report
基礎・臨床科目実習を活用したチームワーク・リーダーシップ教育の開発と評価
Project/Area Number |
21K10346
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田中 和美 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (30526843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 康宏 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60195849)
滝沢 牧子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70613090)
鯉淵 典之 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80234681)
相馬 孝博 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (90262435)
岸 美紀子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90396630)
大石 裕子 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (90846924)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リーダーシップ / チームワーク / ノンテクニカルスキル / システム思考 / 評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者や社会にとって価値ある質の高い医療を安全に提供する上で、チーム医療の重要性が高まっており、コミュニケーション、相互支援、リーダーシップといったノンテクニカルスキルやシステム思考の習得が望まれる。しかしこれらは、講義のみでは習得することは困難である上、我が国では体系的な教育や研究が遅れている分野である。本研究では、チームワークとリーダーシップ能力を高める教育方法を開発し、医療の質と安全の向上に貢献できる次世代の医師の育成に寄与することを目的としている。 当該年度は、昨年度から取り組んでいた、医学教育におけるシステム思考及びチームワーク・リーダーシップについての教育及びその能力評価法に関するシステマティック・レビューについて、さまざまなリサーチクエスチョンを設定しながら進めている。また、基礎医学教育におけるチームワーク、リーダーシップ、プロフェッショナル教育に関するシステマティック・レ ビューについても同様に進めている。 チームワーク、リーダーシップ能力評価において、米国AHRQが開発したノンテクニカルスキル研修TeamSTEPPSでは、T-TAQと呼ばれる評価尺度を使用している。この評価尺度に着目し、AHRQより翻訳権を取得し翻訳、逆翻訳を行い、現在300人の医療者を対象にすることを目標に、妥当性、信頼性を検討する試験を行なっているところである。昨年度より研究を開始し、現在220人ほどのデータか収集できている。 さらに、基礎科目でもリーダーシップ教育プログラムおよび能力評価について、まず生理学実習での導入について検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度も新型コロナウイルス感染症流行の影響で、海外渡航については厳しい制限があったため、海外における医学教育でシステム思考及びチームワーク・リーダーシップの教育実施機関への訪問調査を行うことは叶わなかった。一方で、ジョンスホプキンス公衆衛生大学院教授で、患者安全の世界的権威であるアルバート・ウー先生が来日され、本学でも講演会及び直接インタビューできる機会を設けることができた。また、オンラインでのコミュニケーションが可能となり、この他にも世界各国の患者安全の専門家らに簡単なインタビューは実施することができた。さらに、2月にスイス・モントルーで行われた第5回世界閣僚級患者安全サミットに出席できたため、現地で世界各国の患者安全の専門家たちとチームワーク・リーダーシップ教育をはじめとする医療安全教育についての議論が深められた。 また、他の研究については、ほぼ予定の通り進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、現在進行しているシステマティックレビューを進めながら、生理学をはじめとする基礎医学講座と連携し、実習におけるリーダーシップ教育の実践について、検討を重ねていく予定である。 また、T-TAQ日本語版の信頼性、妥当性試験については、本研究に必要な300人以上の協力が得られ次第、データをまとめ解析を行いたいと考えている。 海外の施設への訪問調査に関しては検討を行っているが、効率性を重視し、医療安全教育の専門家が多く集まる国際学会へ出席し情報収集に努めるなどの方法も検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行のため、海外施設訪問を行うことができず、この旅費は次年度安全な海外渡航が可能となった際に使用するあるいは、別の形でのインタビューにかかる費用などとして使用することとなったため。
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