2021 Fiscal Year Research-status Report
医療系学部・大学院の全員留学による学びの包括的評価に関する実証研究
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21K10370
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中村 絵里 千葉大学, 未来医療教育研究機構, 特任助教 (70844398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 彰一 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (60376374)
大西 好宣 千葉大学, 国際未来教育基幹, 教授 (70639749)
松本 暢平 千葉大学, 国際未来教育基幹, 特任助教 (30737755)
山田 知子 (稲川) 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (30714852)
伊藤 晃成 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (30323405)
酒井 郁子 千葉大学, 大学院看護学研究院, 教授 (10197767)
野崎 章子 千葉大学, 大学院看護学研究院, 講師 (90361419)
カズノブ ダビッド 千葉大学, 大学院看護学研究院, 助教 (10646657)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | グローバルコンピテンシー / 国際性の涵養 / 多様な価値観の受容 / 短期留学 / オンライン留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、千葉大学では令和3年度の海外渡航を伴う短期留学プログラムは全て中止となり、本研究で当初計画していた留学前後の学びの評価は、予定通り行なうことができなかった。一方で、海外留学前の学生を対象に、留学に関する意識調査を実施し、アンケート回答者の特徴として、次のことが明らかとなった。1)グローバルコンピテンシーの基盤となる意識や行動に関する主観的調査では、留学プログラム実施前の学生には、帰属する環境下で周囲と調和しながら柔軟に対応できる傾向が高い一方で、新規の提案への消極性や、異質な環境下および他者間では率先して行動しない傾向が見られる。2)BEVIテストによる客観的調査の結果のうち、国際性の涵養および多様な価値観の受容に関連が深い項目(「欲求の充足」「基本的な開放性」「社会・情動の理解」「意味の探求」「社会文化的オープン性」「世界との共鳴」)に関して、本学の回答者は、国内外のBEVI受験者の平均値と比較して、社会文化的行動や政策に対して進歩的、且つ、グローバル社会への関与を望む傾向が高い。また、BEVIテストで示されたこれらの数値は、「学習、成長、発展的な体験活動への参加」に対する関心の高さと正の相関があることがわかった。加えて、令和3年度に海外留学の代替プログラムとして実施したオンライン留学プログラムの履修者を対象に、前期と後期にアンケート調査を実施することができた。調査結果から、履修前の自己評価が相対的に高い項目として「現状分析と課題解決力」、「異なる信仰や文化的背景への理解と受容」、「他者の立場を尊重した柔軟な対応」が示され、低い項目として「新規提案」、「文化背景の異なる環境でのリーダーシップ」、「不十分な外国語能力での積極的発信」が示された。オンライン留学プログラム履修後のアンケート調査は、2022年4月末までにデータを集約する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年4月(令和2年度)以降に入学した千葉大学亥鼻キャンパスの学生が、本研究の調査対象であるが、令和2年度、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、全ての短期留学プログラムについて実施を見送った。これにより、海外渡航を伴う留学プログラムの評価を行なうことはできなかったが、一方で、留学プログラム参加前の学生のグローバルコンピテンシーや国際性の涵養について、アンケート調査を実施することが可能となった。本年度は、プログラム実施後のデータと比較するために有用なデータを収集することができた。また、海外渡航留学に代わるオンライン留学プログラムが実施されたため、オンライン留学に関する学びの評価を行なう機会を得ることができた。したがって、本研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度後期のオンライン留学プログラム履修後のアンケート調査のデータを集約し、オンライン留学の学びの評価について検討する。さらに、調査への回答者を対象として、半構造化インタビューを実施し、留学のどのような経験や学修が、コンピテンシーの自己評価の向上に影響し得るか検討する。コンピテンシーは、千葉大学がグローバル人材育成の目標に掲げる能力(発信力、自己表現力、コミュニケーション力、多文化受容力)を中心に分析する。また、令和4年度に実施する留学プログラム履修者を対象に、本年度同様、プログラム前後に2種のアンケート調査を実施する(1.ウェブアンケート、2.BEVIテスト)。研究遂行スケジュールは、次のとおりである。4月~6月:令和3年度アンケート結果の集約とデータ解析→半構造化インタビュー実施と分析。7月~10月:令和3年度の研究成果発表(学会発表と論文化)、令和4年度前期留学プログラム履修者対象のアンケート調査実施。11月~3月:令和4年度後期留学プログラム履修者対象のアンケート調査実施→結果集約とデータ解析。
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Causes of Carryover |
令和3年度に研究交流を目的とした国内出張ならびに資料収集のための近距離移動を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、対面による交流や学会が実施されず、すべてオンライン開催となった。そのため、令和3年度は、交通費が発生しなかった。また、調査票のデータ収集ならびにデータ解析作業については、令和3年度は調査対象者が少人数であったことから、研究代表者が担当し、外注による人件費や謝金が発生しなかった。 次年度使用額については、対面での交流会や学会参加時に支出するほか、外注利用時に支出する計画である。
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Remarks |
2021年度異文化間教育学会:ネットワーキング委員会 オンライン交流会 「令和3年度の研究成果と令和4年度計画の発表」 (2022年3月19日開催)
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Research Products
(7 results)