2021 Fiscal Year Research-status Report
地域の重層性に着目した地域特性と個人の健康関連行動との関連性の再検討
Project/Area Number |
21K10450
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
熊谷 美香 大阪市立大学, 健康科学イノベーションセンター, 特任講師 (60527779)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 健康関連行動 / 地域特性 / 建造環境 / 社会経済環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,社会環境の整備によって健康寿命の延伸と健康格差の縮小を目指す社会的背景を踏まえて,健康の社会的決定要因のなかでも,個人の健康関連行動にはどのスケールの地域特性が関連しているのかを明らかにすることである。①地理学における地域,マルチスケール概念の応用,②地域特性の指標化における地理情報科学の分析手法の適応,③マルチレベルモデルを用いた地域の重層性に対する定量的アプローチの3点を組み合わせて課題に取り組む。 ①および②に関して,初年度は研究実施計画の第一段階として,地域特性の指標構築(地理的プロファイリング)に着手した。建造環境としては,先行研究に基づき土地利用,緑地・公園の面積,生鮮食品店・コンビニエンスストアの分布,施設立地等の状況を,主に公開情報,公的資料,行政が管理する既存資料に基づき把握し,それらの情報を加工編集し,地理情報システムを用いてポイント(点),ライン(線),ポリゴン(面)の空間データとして整備した。社会経済環境としては,国勢調査等の公的統計資料を中心に収集し,小地域(町丁字)とメッシュの単位で整備した。地域スケールは,各単位メッシュ,小地域(町丁字等),小学校区,中学校区,市町村といったように地理的単位を複数設定できるよう編成した。 個人の社会経済的地位,ソーシャルキャピタル,健康関連行動に関する健診(健康調査票)のデータ利用にあたっては,定期的にデータ提供元機関との研究打ち合わせを実施し,研究倫理面での不足部分について対応策を講じた。また,本研究における解析実施にはリモート解析システムの利用が不可欠となったため,その解析環境の構築に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象地域における地域特性の指標構築(地理的プロファイリング)に関しては,当初計画したアクセシビリティの観点からの評価,数値化にまでは至っていないため,やや遅れていると評価した。しかしながら,想定していた地域特性に関する情報は概ね取得し,地域特性の指標構築のためのネットワーク解析の下準備はできた。 次年度に予定していた個人の社会経済的地位,ソーシャルキャピタル,健康関連行動に関する健診(健康調査票)のデータ利用と本格的な解析実施に向けて,文献調査と並行してデータ仕様の確認と解析に用いる具体的なデータ項目の検討を進めた。新型コロナウィルス感染症拡大にともない,リモート解析環境利用をデータ提供元機関が定めたため,予定に若干の遅れが生じたが,規定要件に則した環境構築は次年度早々に実現の見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
リモート解析環境が整い次第,個人の社会経済的地位,ソーシャルキャピタル,健康関連行動に関するデータセットの整備に着手する。地域特性に関する指標データと統合し,個人の健康関連指標と地域特性(建造環境,社会経済環境)との横断的な関連を検討する。 また,研究対象地域を増やして地域間比較に発展させることを見据えて,他地域で同様に実施されている健診との連携データでの解析実施に向けたデータ利用申請準備にも着手する予定である。
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Causes of Carryover |
リモート解析システムのための環境構築が必要となり,その物品購入費に充てる予定だったが,半導体不足の影響を受け物品調達が年度内に間に合わなかったため,関連諸経費とあわせて次年度へ繰り越した。次年度繰り越し分は,リモート解析環境構築にかかる諸経費として執行する予定である。
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