2021 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣因子との相互関係を考慮した既知生活習慣病感受性遺伝因子の臨床応用
Project/Area Number |
21K10488
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大門 眞 弘前大学, 医学研究科, 教授 (20241698)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遺伝子環境相互作用 / 分子疫学 / 生活習慣病 / 糖尿病 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間中に種々の解析を行なったがまとまったものは以下です。
栄養摂取との相互作用を考慮した2型糖尿病関連遺伝因子の解析 【目的】一般住民を対象に、既報の糖尿病発症関連の複数の遺伝因子と糖尿病との関連を遺伝因子及び栄養摂取量との相互作用を考慮して調べる。【方法】青森県弘前市岩木地区健康増進プロジェクト検診を受診した1817人で、遺伝子解析をした者でHOMA解析のため糖尿病薬内服がなく、血糖64-142㎎/dLであった1286人を対象とし、18種類の遺伝子の多型とそれらの組み合わせ、栄養摂取状況による糖尿病への影響を解析した。【結果】18種類の遺伝子多型を用いてCluster分類し、2型糖尿病と関連傾向があるCluster群(HbA1c高値、GRSスコア高値)で関連を代表している遺伝子多型を抽出し糖尿病の関連を遺伝因子の相互作用を加味して解析すると、複数の遺伝子多型の組み合わせで空腹時血糖、HbA1高値との関連を認めた(p=0.014、p=0.011)。また、栄養摂取状況を踏まえた解析では、女性で栄養摂取が少ない群でのみ3種類の多型(rs10947804、rs1535500、rs 60980157)の組み合わせと相乗性にインスリン分泌低下と関連することが示された(p=0.048)。【考察】複数の遺伝子の多型を組み合わせ、栄養摂取状況も踏まえて糖尿病関連遺伝因子を解析する事で、栄養摂取状況の違いに応じて糖尿病と関連する遺伝因子を明らかにした。【結語】糖尿病疾患感受性遺伝因子の本来の影響度は、遺伝因子及び環境要因との相互作用を考慮した解析から明らかになると思われるが、本研究からも、その例として3種類の多型(rs10947804、rs1535500、rs 60980157)が栄養摂取量依存性に関連する事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初年度に予定した統合的解析である、”抽出した遺伝子因子を用いたクラスター解析”は既に行なっており、それを元に現在、生活習慣(環境)因子の違いの考慮した解析を行なっており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っている、クラスター解析から得られた各クラスターを代表する遺伝因子と生活習慣(環境)因子の組合せを明らかにする研究を進める。その過程で更なる遺伝子情報が必要となればそれを加える。また、解析ずみのDNAチップに含まれず、推定 (permutation) も不可能な遺伝子情報が必要となれば、新たに遺伝子型の解析を行う。 加えて、発症を指標とした遺伝因子(個別および遺伝子クラスター)関連解析、コホート追跡研究に取りかかる。 また、本研究集団の変更関連データを拡充するとともに、これらデータと生活習慣病との関連解析も行い、更なる解析を行なう為の基本データとする。
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Causes of Carryover |
まず行ったクラスター解析にて、ある程度の進捗があり、追加での遺伝子解析は令和3年度には必要なかったのでその分支出が減った。また、コロナの影響もあり学会等の研究発表の場もweb開催等となり経費がかからなかった。令和4年度は、追加での遺伝子解析等が必要となると思われるし、コロナ禍は続くようだが、適切な対応をとり学会発表等の活動も拡大する予定なので、当初の研究費は必要となると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Risk Classification for Metabolic Syndrome and the Incidence of Cardiovascular Disease in Japan With Low Prevalence of Obesity: A Pooled Analysis of 10 Prospective Cohort Studies.2021
Author(s)
Iso H, Cui R, Takamoto I, Kiyama M, Saito I, Okamura T, Miyamoto Y, Higashiyama A, Kiyohara Y, Ninomiya T, Yamada M, Nakagawa H, Sakurai M, Shimabukuro M, Higa M, Shimamoto K, Saito S, Daimon M, Kayama T, Noda M, Ito S, Yokote K, Ito C, Nakao K, Yamauchi T, Kadowaki T.
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Journal Title
J Am Heart Assoc.
Volume: 10
Pages: e020760
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 糖尿病症例におけるエクオール産生能に関する検討2021
Author(s)
濱浦 季穂, 村上 宏, 遲野井 祥, 木村 裕輝, 村上 洋, 松木 恒太, 佐藤 江里, 田辺 壽太郎, 松橋 有紀, 柳町 幸, 上野 友美, 大門 眞
Organizer
第64回日本糖尿病学会年次学術集会