2023 Fiscal Year Research-status Report
青壮年期の生活習慣・ライフイベントの疫学的関連に基づいた生活習慣病予防法の開発
Project/Area Number |
21K10509
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
櫻井 勝 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90397216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 昌夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10184516)
森河 裕子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20210156)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 予防医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,現行の特定健診・特定保健指導では把握できない40歳未満の青壮年期を含む職域集団を対象に,体質,食事や運動などの生活習慣,職業要因などの社会的要因などの肥満・生活習慣病との関連を明らかにし,青壮年期における肥満・生活習慣病予防のための効果的な介入方法を開発し,その効果を検証する. 2023年度は,研究対象者に循環器疾患発症に関する調査を実施した.また,既存コホート研究で得られた既存資料を用いて,生活習慣・職業要因と生活習慣病発症との関連を分析した.1)対象企業に2004年に在籍していた35歳以上の従業員3,728(男性 2,337,女性 1,391)名を対象に,2016年まで追跡し糖尿病の発症を確認した.糖尿病の発症率は,11.1(対千人年)であった.2004年に行ったピッツバーグ睡眠質問票を用いた睡眠調査に基づき,睡眠時間,睡眠の質と糖尿病発症との関連を検討したところ,睡眠時間と糖尿病の発症はU字型の関連を示し,睡眠時間6時間で最も糖尿病の発症が少なかった.また,睡眠時間6~7時間の者と比較し,睡眠時間6時間未満の多変量調整糖尿病発症ハザード比(95%信頼区間)は1.38 (1.04-1.84)と,短時間睡眠で有意な糖尿病発症リスクの上昇を認めた. これらの関連は50歳未満と50歳以上の層別解析でも同様であった(交互作用 p=0.821).職業性要因については,職種別(ブルーカラー,ホワイトカラー),交代勤務の有無別,過重労働の有無別(月残業時間45時間未満,45時間以上)で,いずれも睡眠時間と糖尿病発症の関連は同様であり,交互作用は認めなかった.睡眠の質に関しては,糖尿病発症との有意な関連は認められなかった. 以上より,年齢や職業要因に関らず,6時間以上の睡眠の確保は糖尿病発症予防に有用な対策であることが明らかとなった
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度予定していた既存資料の解析については,順調に進んでいる. 2022年度に入手予定であった対象企業従業員の過去5年分の健康診断・保健指導等の結果については,個人情報保護法の改訂などに伴い入手が遅れていたが,2023年度にようやく企業内での手続きが完了し,企業内での新たな資料を分析する環境整備を行った. 2024年度には得られた資料を基に,生活習慣,保健指導の内容と保健指導前後の健診結果の関連について分析をすすめることとした.
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,これまで行ってきた既存コホート研究の解析結果をまとめるとともに,新たに得られた食習慣や運動習慣などの生活習慣,保健指導の状況と肥満・生活習慣病発症との関連を解析することで,青壮年期に特徴的な生活習慣の課題を明らかにする.得られた結果を基に,生活習慣のリスク要因に基づく保健指導法を開発する. 当初は2024年度に実際の対象者に保健指導を実施し,新たな保健指導法の効果を検証する予定であったが,保健指導法の開発が企業の健診時期に間に合わないため,2024年度は過去の生活習慣,健診結果,保健指導等の資料を用いて,食事や運動などの生活習慣改善が健診結果に与える効果をシミュレーションにより評価することとした.
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Causes of Carryover |
過去5年分の新たな資料の入手が遅れたことにより,資料整理にかかる人件費や事務消耗品等の物品費の支出が予定よりも少なかったため.これらの作業は2024年度に実施するため,その経費を2024年度に繰り越して使用する.
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