2022 Fiscal Year Research-status Report
マルチレベルモデルを用いた感染症患者への看護師の倫理的行動に対する組織要因の探求
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21K10629
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
福井 幸子 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00325911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 香代子 京都府立医科大学, 医学研究科, 客員教授 (00344599)
安岡 砂織 東邦大学, 看護学部, 准教授 (80459817)
矢野 久子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00230285)
中原 純 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (20547004)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染症患者 / 感染症看護 / 看護師 / 倫理的行動 / 組織的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症患者に対する看護師の倫理的行動および倫理的行動に影響する要因について、感染症看護専門看護師(以下CNS)および感染管理認定看護師(以下ICN)、看護管理者、感染症病棟の看護師を機縁法でリクルートしインタビューを実施した。 対象者は総計19名で、勤務地は東北、関東、中部、近畿地方であった。CNSは3名、ICNは4名で、看護師平均年数は24年、CNSまたはICNとしての勤務平均年数は9.6年であった。看護管理者は5名で、看護部長(局長)経験平均年数は3.8年であった。感染症病棟の看護師は7名で、看護師経験平均年数は21.1年、感染症病棟勤務の平均年数は4.1年であった。インタビュー内容は、感染症患者の看護で大切にしていること(必要な配慮)、倫理上の問題とその要因等で、リモートでの半構造化面接法を実施した。録音データから逐語録を作成し、文脈を読みとって切片化したコードから意味内容が類似しているものを集め、帰納的に<サブカテゴリ>、≪カテゴリ≫、【コアカテゴリ】へと抽象化し分析した。 感染症病棟の看護師の倫理的行動については、【感染症患者に必要と考えて実践した看護】、【感染症看護の実践を支えるもの】の2コアカテゴリ、≪患者・家族への精神的ケア≫、≪感染症看護を支える規範≫など5カテゴリ、<面会できない患者のために家族とつないだ>、<閉鎖環境に置かれた患者への心のケアを重視した>等、19サブカテゴリが抽出された。倫理的課題については、【感染症看護における倫理的課題】、【看護師の倫理的行動を妨げるもの】の2コアカテゴリ、≪感染防止策が患者の利益に反することへのジレンマ≫、≪問題ある看護師自身の行動≫など5カテゴリ、<行動制限で運動ができず、ADLが低下するのをもどかしく思った>、<自分自身が感染していないか不安だった>等、29サブカテゴリが抽出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度と4年度の2年間でインタビュー調査を実施する計画であり、概ね目標は達成できた。計画したインタビュー対象者数は、CNSまたはICN20名、看護管理者5名、スタッフナース5名であったが、COVID-19流行による医療機関の負担からCNS・ICNへの協力依頼が困難であったため、予定した対象者数を確保できず7名となったが、収集できたデータは質が高くデータ数も多かったため、対象者数を増やさずインタビュー調査を終了とする。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、インタビュー調査結果のデータ分析を進めており、倫理的行動や倫理的課題とその影響因子に関するサブカテゴリには、CNS・ICNとスタッフナースに共通するもの、および独自のものが抽出されている。今後、さらに精度を上げ、また、看護管理者のデータ分析を同時に進め、感染症患者に対する看護師の倫理的行動尺度開発の基礎資料として完成させる。また、年度後半では、看護師の倫理的行動に関する質問紙調査の準備を開始する。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた理由は、COVID-19流行に伴い、研究者会議及びインタビュ-調査ともリモートで実施したことや、インタビュー調査の実施が計画より少なかったことが挙げられる。質的研究においてデータ分析は質研究のエキスパートを含め複数で時間を要して行わなければデータの信頼性が担保できないが、平和4年度は対面で研究者が分析作業できたのは1回のみで、分析は思うように進まなかった。 令和5年度は、感染状況を見ながらタイミングを逃さず、対面で集中してデータ分析を実施する。また、データ分析でまとめた成果を学会で発表し、次年度の質問紙調査実施の準備にあたる。 以上のことから、令和5年度は、旅費や学会参加、データ分析、質問紙作成のための諸費等に助成金を当てて研究を進めていく。
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