2022 Fiscal Year Research-status Report
患者にとって安全で苦痛のないフラッシング技術の実態調査および実証実験による検証
Project/Area Number |
21K10630
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
小向 敦子 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (10882029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 美代子 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30558888)
高橋 有里 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (80305268)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラッシング(フラッシュ) / 点滴静脈注射 / 配合変化 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の実証実験データを整理し,詳しく分析を行った. その結果,フラッシングの設定22通り中,配合変化が認められたのは15通りであった.多くは最初に白濁が見られた後,結晶析出が認められた.注入量1.0mLと2.0mLでは,注入速度に関わらず2剤目の投与中から白濁が見られ,その後に結晶析出が著明となった.注入量4.0mLでは,注入速度90mL/hと360mL/hにおいて投与直後に白濁が見られたが,720mL/hと1500mL/hにおいては目視で確認できる変化が見られないまま経過し,30分以降において結晶析出が認められた.注入量10mLと20mLでは,いずれの注入速度においても配合変化は見られなかった. 本研究においては,薬剤投与箇所から静脈留置針先端までのルート容量の1/2から2倍量までの注入量において,いずれも配合変化が認められる結果となった.このことから,本研究の条件下において,フラッシングの注入量は,ルート容量の2倍では薬剤の完全排出が難しいことが示唆された.一方で,注入速度による配合変化への明らかな影響を認めるには至らなかった. 臨床において看護師は,エクステンションチューブを組み合わせた多様な点滴ラインを管理していることから,フラッシングに十分な注入量をその都度認識し実施することは困難といえる.また,厳密なIN/OUT管理が必要な患者に対し,フラッシングで過剰な輸液が投与されてしまう可能性も考えられる. 今後は,より臨床場面に即した方法として,2剤目投与後に輸液を再開した場合のルートの観察や,フラッシングを行う看護師の実態を明らかにすることが課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,看護師を対象とした実態調査の結果に基づき,実証実験を重ねていく予定であった.しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により,医療機関における医療職者の負担が大きいことを考慮し,看護師を対象とした実態調査を先送りとした.そのため,やや遅れていると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
(新型コロナウイルス感染症の医療機関への影響を鑑み延期としていた)看護師を対象とした現状調査を実施し,臨床におけるフラッシングの困難や課題について明らかにしていく.また,調査結果をもとに,より現場に即した方法での実証実験を行う.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により,①旅費や人件費の支出が無かったこと(研究の学会発表はオンラインであった),②新型コロナウイルス感染症の医療機関への影響を鑑み実態調査(アンケート)を先送りにしたことから,次年度使用額が生じた. 今年度,全国規模の実態調査および調査結果に基づいた実証実験を実施するため繰り越していた助成金を使用させていただく予定である.
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Research Products
(1 results)