2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K10677
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 なぎさ 産業医科大学, 産業保健学部, 准教授 (20341521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 光紀 国際医療福祉大学, 医学研究科, 教授 (80333384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 看護師 / 多重役割 / スピルオーバー / ワーク・エンゲイジメント / 精神健康度 / 職業経験の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年国内外において、労働者のメンタルヘルスについてポジティブな視点やワーク・ライフ・バランスに焦点を当てた研究がなされている。予備研究1では、女性看護師においては、個人資源や仕事の資源に加え、仕事以外に多重役割を担うことや良好なワーク・ライフ・バランス等、仕事領域の変数に加え家庭領域の変数が、心身の健康度やワーク・エンゲイジメント、ならびにパフォーマンス(看護の質)の向上につながる示唆が得られた。そこで、本研究はこれまでの研究をさらに発展させ、女性のみならず男性看護師も含めた、我が国の看護師が活き活きと労働生活を営める要因を検討することを目的とした。 2021年度は、予備研究1から対象を全国に拡大し、個人資源の変数を追加し、仕事以外の役割に妻および母親役割に介護役割を加えた予備研究2の分析を行った。分析の結果、多重役割のある女性看護師は、多重役割のない女性看護師よりも精神健康度および看護実践の質と正の相関がある職業経験の質が高く、予備研究の結果と一致した。また、最終アウトカムとしての精神健康度には、SOC(ストレス対処能力)、ストレス対処行動の「回避と抑制」、仕事の要求、仕事の資源、ワーク・ライフ・バランス、疲労、多重役割の有無が関連していた。一方、職業経験の質には、SOC(ストレス対処能力)、ストレス対処行動の「積極的問題解決」、資質的レジリエンス、獲得的レジリエンス、仕事の資源、ワーク・ライフ・バランス、ワーク・エンゲイジメントが関連していた。これらの結果は、JD-Rモデル(Job Demands-Resource model:仕事の要求度-資源モデル)と一致し、「家庭領域」の要因も健康・組織アウトカムに関連した。女性看護師が活き活きと労働生活を送るためには、「仕事領域」のみならず「家庭領域」の要因も重要だと考える。これらの結果をふまえ、本研究での調査に向けた検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に行った予備研究の結果を基に、本研究での調査の計画立案中である。COVID-19の影響により教育業務等に時間を要したため、本研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備研究の分析結果について論文作成を行う。引き続き、本研究での調査実施に向けて、調査の計画を検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により教育業務等に時間を要したため、計画していた文献検討や看護師へのインタビューなどが十分に実施できず、当該年度は予備研究の分析および本研究の検討を行ったため、経費が予定より少額となった。未使用額は、2021年度に行った予備研究の結果を基に、本研究での調査の準備を行うために使用予定である。
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