2021 Fiscal Year Research-status Report
終末期の心理過程の明確化と看取ケアの心理的モジュールの開発
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21K10703
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Research Institution | Kansai University of Nursing and Health |
Principal Investigator |
下舞 紀美代 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (80458116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 和生 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (00281759)
原田 美穂子 関西看護医療大学, 看護学部, 准教授 (40537784)
BECKER CARL.B 京都大学, 政策のための科学ユニット, 研究員 (60243078)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 終末期 / 心理過程 / がん患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,死の過程にある人(治癒や維持といった治療効果が見込めず,死まで数週間の人)の心理過程を分析し,在宅で尊厳あるよりよい死を迎えられるように支援するた めの研究である。2021年度は、「死の過程にある人の心理過程の解明(「終末期」と「死の過 程」の用語の意味を明確にする)ことであった。そこで、まずは定義や概念が研究者や各学会によって異なる「死の受容」、「終末期」について文献検討をなった。検討した結果を、日本看護研究学会第47回学術集会にて、「死の受容」と「終末期」について発表した。 また、終末期にあるがん患者経験者が、今までにどのような苦痛を経験したかについて質問紙調査を行い、日本看護科学学会第41回学術集会で発表した。さらに、終末期がん患者の心の変化をより死が近い人を対象に面接調査を行った。関西看護医療大学の倫理審査の承認を得、各依頼施設の倫理審査の承認も得ることができた。対象人数は30名を予定しており現在25名、面接時間は250時間以上の調査が終了している。本調査の成果の一部を23rd International Congress on Palliative Careに投稿予定である。今後は、さらに面接調査を行い分析を適宜進め、その後全体的論文化を目指す。また、近藤恵、カール・ベッカー氏 (2021) は、「死別悲嘆に対する葬儀の変容する意味と社会的影響」『グリーフ&ビリーブメント研究』を発表、「日本の死生観の経験知に学ぶ」日立製作所オンラインシンポジウムを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイル巣感染症の予防のため、緩和ケア施設での調査は非常に困難であったが、施設の倫理審査も順調に承認され面接調査は順調に行われた。30名の対象者を目指し現在も施設依頼をしている。医師の同意が必要であり、面接対象者の体調も不安定な中、25名の面接を終了している。面接対象者はできる限り死に近い人を選択し、時期をずらしながらその人に起こる心の変化を時系列に調査することができている。また、同時に文献検討も行い現在は論文化に向けて整理している。したがって、予定通りの進捗と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、面接調査対象者を最低5名増やし、分析を進める。この調査で、終末期がん患者の心理過程を論文化する。この作業は信頼性や妥当性を担保する必要がある。そこで、分析、論文化までに1年はかかると考えている。 本年度は、この面接調査に結果を踏まえ、終末期がん患者の心理過程を踏まえ、看取りケアのモジュール案を作成する予定である。今後の面接対象者が得られない場合や、分析に時間を要することが危惧されるが、おおむね実施可能な状況であると考える。 看取りケアを行う人を医療職者に限定せず、家族や友人、地域の人を含めて実践できるような、モジュール案を提示する予定である。また、医療職者や一般の人を対象にしたセミナー開催を行う。その際、セミナーの前後で看取りケアに対する理解度の調査をする予定である。
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Research Products
(8 results)