2021 Fiscal Year Research-status Report
精神障害当事者のリカバリー体験への理解を可能にする共同創造型学習プログラムの開発
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21K10781
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
市川 佳子 (松本佳子) 日本赤十字看護大学, さいたま看護学部, 准教授 (30277892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 敬子 日本赤十字看護大学, さいたま看護学部, 教授 (70288067)
宮本 晶 日本赤十字看護大学, さいたま看護学部, 助教 (00910522)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精神障害当事者 / リカバリー体験 / 共同創造 / 学習プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、精神障害当事者が継続して授業に参加することを通して、当事者と家族、学生、教員それぞれが協働しながら、当事者のリカバリ ー体験への理解を可能にする効果的な具体的な学習方法とその内容を抽出することを目指す。実習前から実習にかけて継続的な当事者参加による共同創造型学習プログラムの開発に関する研究は、これまで取り組まれていない。本研究での取り組みは、精神看護学における講義と実習をつなぐ教育展開への示唆に留まらず、当事者とその家族、学生、教員が、立場や役割を超え共存し、コロナ禍の社会不安を生き延びるための社会のあり方を示す、共同創造「Co-production」に関する新たな知見につながると考えられる。 危機を乗り越えリカバリーへの道を歩む精神障害の当事者と、実習前からの看護学生との継続的な交流が、学生にどのようなインパクトを与え、その後の精神看護学実習をはじめとする学習にどのような影響を与えるのか、長期的視点から明らかにするとともに、当事者とその家族、学生、そして教員といった多様な立場の人々が連携しながら共同してリカバリー体験への理解を可能にする学習プログラムの開発を試みるものである。 研究初年度である今年度は授業前準備として、薬物依存症からの回復者2名と具体的な授業構想を練り、学生に対しては当事者の特性について十分な説明を行った上で、授業を実施した。そして、研究協力の承諾を得られた学生6名を対象とし、授業後にフォーカスグループインタビューを実施し、当事者による授業について振り返ってもらった。 さらに、統合失調症の家族1名と具体的な授業構想を練り、家族の立場からのこれまでの経験を中心とする授業を実施した。そして、研究協力の承諾を得られた学生6名を対象とし、授業後にフォーカスグループインタビューを実施し、当事者による授業について振り返ってもらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた2年生の前期と後期の授業において、それぞれ薬物依存症の当事者、統合失調症家族の当事者に授業を依頼し、予定どおり実施することができた。また、該当学年の学生6名から研究協力を得ることができ、それぞれの授業終了後、学生を対象とした2回のフォーカスグループインタビューを実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年生の前期授業においては、研究協力者である精神障害当事者2名と具体的な授業構想を練り、学生に対しては当事者の特性について十分な説明を行った上で、授業を実施する。その後、研究協力の承諾を得られた学生6名を対象とし、授業後にフォーカスグループインタビューを実施し、当事者による授業について振り返ってもらう。 また、学生6名が精神保健看護学実習を終えた後、薬物依存症当事者2名、統合失調症の家族の当事者1名、精神障害当事者2名と研究者との合同フォーカスグループインタビューを実施し、多様な視点から、それぞれの授業と実習についての振り返りを行う。 また新たな2年生の研究協力者に対しても、前期と後期の授業において、それぞれ薬物依存症の当事者、統合失調症家族の当事者に授業を実施する予定である。さらに、2年生の研究協力者に対して、それぞれの授業終了後にフォーカスグループインタビューを実施し、当事者による授業について振り返ってもらう。
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Causes of Carryover |
コロナ禍が続き、当初予定していた学会参加・研修会参加などが難しい状況であったため、当初予定していた旅費の使用ができず、次年度使用額が生じた。 次年度以降の使用計画に関しては、可能な範囲での学参加・研修会参加、さらに学会発表を予定している。また、当初計画していたよりもデータ整理が煩雑になっており、非常勤アルバイトへの依頼が予定使用額を上回る可能性がある。
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