2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K10812
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
田中 樹 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (00804189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 純子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (60433893)
清野 純子 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (80549973)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 美容医療 / 手術侵襲 / 患者心理 / 看護支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、美容医療を受けた患者の周術期で体験する世界や心理過程を明らかにし、看護支援を明確化することである。昨今、雑誌やインターネット、マスメディアにおいて美容医療サービスに関する情報が公開されており、美容クリニック数も増加傾向にある。プチ整形と呼ばれる治療で気軽に美容医療が受けられるようになった反面、施術後の経過において誰にも相談できず孤立するなど精神的な負担を抱えるケースも多い。日本では、美容整形をタブー視する文化があり、合併症が生じたり期待通りの結果にならなかった場合でも自由診療の範囲のため自己決定した結果だからとないがしろにされてきた背景がある。そのため、美容医療を受けた患者の心理過程を明らかにすることで、必要な看護を明らかにし、心身ともに支援していく必要があると考える。 本研究の実施計画第一段階として、令和3年度は美容医療を受けた患者の意思決定の背景からダウンタイムが明けるまでの体験や思いについてインタビューを行う。令和4年度は、第二段階として美容医療に関わっている看護師から実際行っている支援についてインタビューを行う。令和5年度は、第三段階として美容医療を受けた患者の心理過程と看護の実際を比較し、必要な看護支援を明らかにすることとした。 令和3年度は、美容医療を受ける患者の心理について海外論文での文献検討を行い、患者の特徴を理解するように努めた。また、第一段階に着手し、美容医療を受けた10名の患者にインタビューを実施した。その結果を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的分析し「美容整形を受ける患者の心理過程」についてのカテゴリ化を行なった。分析ワークシートからカテゴリ化までの解釈について2名の研究分担者と共に妥当性の検討を行った。今後、学会誌への論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、第一段階として「美容整形を受ける患者の心理過程(治療決定から術前術後まで)」をテーマに研究に取り組んだ。理論的段階として、美容医療を受けた患者の心理に関する総合的文献レビューにより、知見を得るとともに、合併症や相談事例について、専門家ヒアリングを行い現状把握に努めた。 その後、美容医療を受けた患者10名に対し、インタビュー調査を行った。インタビュー内容は、美容医療を受けようと決めた背景や治療に対し期待していたこと、術後からダウンタイムの過ごし方とその時の思い、ダウンタイムが明けてから今に至るまでの思いについて、また、看護師に行って欲しかった支援についても過去を振り返りながら答えていただいた。インタビュー結果は、逐語録に起こし修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて質的に分析を行った。分析ワークシートからカテゴリ化までの解釈について2名の研究分担者に示し妥当性の検討を行った。今後、学会誌への論文投稿を予定しており、概ね計画通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度に引き続いて「美容医療を受けた患者の心理過程」の論文投稿に向けて努めていく。現在、M-GTAを用いて質的分析し、結果を導き出せた状況であるため、この結果を論文構成していく段階である。 また、第二段階として「美容医療に関わっている看護師の捉えた患者のニーズ」をテーマとし、美容医療に関わっている看護師10名に対して実際行っている支援についてインタビューを行う。看護支援内容については、前年度のインタビューにおいて患者から得られたデータをもとにし、患者の心理と比較しながらインタビューを行う。インタビュー後は、逐語録に起こし、美容医療に関わっている看護師の視点から患者の心理やニーズを明確化できるよう質的分析を行う予定である。分析は、2名の研究分担者に示し妥当性の検討を行った上で学会投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、コロナ感染拡大に伴い海外のクリニックへの視察や学会参加ができなかったため、次年度使用額が生じている。また、文献レビューも不十分であり論文投稿まで行えなかったため、文献取り寄せ代金や英文構成代金も余っている状況である。 令和4年度は、令和3年度の計画を引き続き行っていくと同時に、新たに看護師を対象とした研究に取り組む予定である。最終的に、患者の視点と看護師の視点といった相互の結果を分析することとなるため、新たに質的分析ソフトを購入する必要がある。そのため、残金を繰り越すことで次年度の予算に補填することとした。
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