2021 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある思春期女子の感覚調整障害による困難の解明と自己制御支援モデルの開発
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21K10882
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大河内 彩子 (井出彩子) 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70533074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 信智 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (10363508)
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
藤村 一美 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (80415504)
藤岡 徹 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80770594)
金森 弓枝 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (70781920)
秋月 百合 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (90349035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ASD / ADHD / VR / 教室 / 感覚 / 学業 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害児は、学業に影響する感覚調節障害を抱えていることが多い。学業が振るわないことは思春期で課題となる自己肯定感の低下にも影響する。よって、彼らの感覚を学校場面で測定し支援の糸口を探る必要がある。仮想現実(Virtual Reality:VR)を用いることで、現実に近い環境で発達障害を有する児童生徒の感覚の評価を行うことができる。本研究の目的は、彼らの視線、インテロセプション(内受容感覚)、学業の特性を評価するためのVR教室の実現可能性を探ることである。 児童生徒を年齢や性比に有意差のない発達障害児群(n=8)、対照群(n=7)に割り付けた。複数の音、物体の落下、移動などの注意散漫事象に対する反応を評価するために、VR教室を設計した。注視時間、パフォーマンステスト、インテロセプションを評価した。 発達障害児群は、30~45秒間のVR教師への注視時間が有意に長かった(p<.05)。対照群は、人工的な騒音が出るとVR教師以外の方向を注視するようであった。パフォーマンステストと心拍知覚テストの平均点は、発達障害児群では有意に低い傾向を示した。発達障害児群ではMAIAの8つの下位尺度のうち6つ(気づき、注意制御、感情への気づき、自己制御、身体を聴く、信頼する)で有意に低いスコアを示した。 学齢期の発達障害児と定型発達児では学校の感覚刺激に対する視線や抑制が異なることが考えられた。また、発達障害児では教師を注視していても理解は劣る可能性やインテロセプションが低い傾向が考えられた。違いの背景として発達障害児の過集中や弱い中心性統合が考えられた。今後、対象者数を増やし、VR教室の感覚測定における信頼性・妥当性を検討する必要がある。さらに思春期発達障害児女子の特徴を検討することが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害児の感覚を評価するためのVRを利用したシステムの構築を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
思春期発達障害女子の対人距離感覚の測定に向けて、文献検討や機器の選定を行う。さらに、親や専門職による評価尺度の開発に向けて、文献検討やインタビューを実施する。
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Causes of Carryover |
補助事業者において実支出額がゼロ円だった方がいたため次年度使用額が生じてしまった。翌年度分として請求した助成金と合わせて、補助事業者に物品を購入していただく予定である。
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Research Products
(7 results)