2021 Fiscal Year Research-status Report
転居高齢者の生活適応促進を目指した転居前支援プログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
21K11003
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
古田 加代子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (00319253)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
輿水 めぐみ 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90405225)
伊藤 裕子 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (20640303)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 健康高齢者 / 過疎地域 / アドバンス・ケア・プランニング / 転居 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は過疎地域の高齢者に対するアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)の普及啓発状況、効果的なプログラム等に関して文献検討を行った。 諸外国(英、米、加、豪等)では1990年代から「最期までその人らしい最善の生」「良い死」を迎えるための核になる概念として、ACPの普及啓発やプログラム開発に取り組まれてきた。そして予後が予測される段階ではなく、健康な段階からACPに取り組む必要性が叫ばれ、普及活動が展開されている。わが国では2007年厚生労働省が「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定し、2014年からは「人生の最終段階における医療体制整備事業」を立ち上げ、2018年からは「人生会議」という愛称で普及啓発に取り組まれている。ACPをKeyワードに文献検索を行うと2000件を超える和文献がヒットするが、そのほとんどは医療機関や介護福祉施設における終末期の医療・ケアに関する内容を取り扱った研究であり、健康な高齢者を対象とした研究はごく限られている。地域の健康高齢者を対象にしたACPの実施状況に関する研究では、自分の人生観や意思を託したい人、受けたくない医療、医療や介護を受けたい場所などについて、家族と話し合いを実施している人は24~34%と、実施状況は低いことが分かった。また効果的なプログラム開発が待たれるが、地域の介護施設の現状など地域の実情を踏まえたACPプログラムに取り組むことで、「今後の自身の状態や状況のイメージ化」や「今後の生き方を選択していくための主体性の獲得」などが図られることが明らかになっている。過疎地域の高齢者の中には、終末期の前に自立度が低下した場合の居住地や居住場所を選択しなければいけない者も多く含まれることから、より精力的にACPの普及啓発を進めていく必要性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大に伴い、調査予定地である山間へき地に出張する難しさと、高齢者を対象に調査を行うことに支障が生じ、当初の予定通り調査が進まなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は研究の進め方を一部変更し、中山間へき地の高齢者を支援する地域包括支援センター職員を対象にした、支援の実際に関する調査を先に実施する。そのうえでCOVID-19の感染拡大状況、地域での研究の受け入れ状況を確認しながら、タイミングを計って高齢者のアドバンス・ケア・プランニングに関する調査に取り組んでいきたい。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大の影響で、予定していた中山間地域高齢者のアドバンス・ケア・プランニングに関する調査が実施できなかったため、旅費、人件費などの費用が使いきれず繰越金が生じた。2022年度は中山間地域高齢者を支援する地域包括支援センター職員に対する支援の実際に関するインタビュー調査を先に実施し、感染拡大のタイミングを計って高齢者への調査を実施していく計画である。2022年度は、地域包括支援センター職員に対するインタビュー調査のための旅費、研究謝礼、テープ起こしのための費用および高齢者を対象とした調査の打ち合わせ旅費、アルバイト雇用の人件費などに予算を充てる予定である。
|