2021 Fiscal Year Research-status Report
都市部在住高齢者に対する包括的食料品アクセス支援プログラムの開発と検証
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21K11034
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
飯坂 真司 淑徳大学, 看護栄養学部, 准教授 (40709630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小板橋 恵美子 東邦大学, 健康科学部, 教授 (20512487)
根岸 貴子 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (40709250)
河村 秋 和洋女子大学, 看護学部, 准教授 (50719094)
中村 良美 淑徳大学, 看護栄養学部, 助手 (00881161)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 食料品アクセス / 高齢者 / 栄養 / フレイル / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦では、高齢者が食料品の日常的な買い物に困難をきたす「食料品アクセス低下」が問題化している。特に都市部では、人々のつながりの低下が食料品アクセスに影響している。本研究では、都市部在住高齢者を対象とした包括的な食料品アクセス支援プログラムを開発する。プログラムには、研究者らが開発した食料品アクセス状況の包括評価や地域の買い物環境の点検、フレイル予防、様々な食料品アクセス方法の体験を取り入れる。首都圏のモデル地区にて、本プログラムが高齢者の食品摂取多様性、栄養状態の改善および高齢者本人と住民互助活動活発化による地域の食料品アクセスの改善につながるかを検証する。 令和3年度は、プログラム内容の開発のために、食料品アクセス要因や取り組み事例の文献レビューを行った。特に経済産業省の買い物弱者支援や~をもとに、現在行われている取り組みの類型化を行った。合わせて2019年度の調査データ(n=303)の二次解析を実施した。研究者らが開発した包括的食料品アクセス尺度のデータに対して潜在クラス分析を行い、地域高齢者の食料品アクセス低下の類型化を試みた。その結果、<全般良好>、<買い物困難>、<社会的孤立>、<障害困窮>の4クラスが得られ、買い物行動や食品摂取頻度、栄養状態に差があることが確認された。 また、本プログラムでは、インターネットを使用した買い物の体験学習を予定しているため、タブレット端末等の備品の整備を行った。首都圏のモデル地区1か所にて、体験学習のプレテストを実施し、参加者(n=8)に対してフォーカスグループインタビューを行い、質的記述的分析を行い、高齢者のインターネットスーパーの利用に関する課題や必要な支援等を整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う地域活動の中止・制限のため、当初予定していた買い物支援の先駆的地域の視察と住民組織関係者へのインタビューについては、一部実施できなかった地域があった。代替手段として、取り組み事例に関する文献資料のレビューを行うこととした。また、本研究にて開発する予定のプログラムの詳細(モデル地区の選定、対象人数、募集方法、回数・時間など)についても、今後の地域活動の再開状況が未定であり、検討が十分に進んでいない面がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の分析結果に基づき包括的食料品アクセス支援プログラムの詳細を決定し、準備を進める。特に、プログラムに使用するために、食料品アクセスに関する高齢者向け教育媒体を作成し、高齢者ケアや栄養学の専門家および地域住民から意見聴取する。また、プログラム評価およびアウトカム評価のための調査項目や手順を決定し、質問紙等を作成する。首都圏のモデル地区を募集し、ベースライン調査を進めるとともに、プログラムのプレテストを実施する。 研究デザインは準実験研究(非ランダム化比較試験)とし、介入群はプログラム参加者のうち65歳以上の者80名程度(20人×4か所程度)を目指す。3~4年目にかけて、モデル地区や対象者数を順次増やす予定である。対照群は、別の地域活動に参加する65歳以上のプログラム未参加者の住民とし、地域、年齢、性別、世帯、疾患、身体機能、栄養状態等から作成した傾向スコアマッチング法を用いて160名程度選定する。ベースラインとプログラム参加3か月後、1年後に食料品アクセスに関わる認知(ヘルスリテラシーなど)、行動(買い物頻度、手段の変化など)、状態(食品摂取多様性、栄養状態など)レベルのアウトカム指標を調査する。介入前後のアウトカム指標の変化の群間差をt検定、χ二乗検定を用いて分析する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う地域活動の中止・制限のため、当初予定していた調査の一部実施できなかったためである。次年度は活動が再開されるモデル地区が増加すると考えられるため、調査備品購入やスタッフの人件費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)