2021 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設における認知症高齢者の難聴に着目した支援プログラム作成に関する研究
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21K11087
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
川島 和代 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (40157855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 達也 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (40780276)
額 奈々 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (50889087)
中道 淳子 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70324085)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 介護保険施設 / 認知症高齢者 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症施策推進大綱に基づいた予防と共生社会の一助となることを目標に、認知症の人自身が社会の一員としてあり続けられるようまずは、認知症高齢者の感覚機能低下(難聴)に着目した意思形成を支援するための介入プログラムを開発することである。令和3年度には、医療機関に入院、在宅や介護保険施設で療養している認知症高齢者のケアに直接携わる看護・介護職員を対象に「難聴」の観察・情報収集の方法、ケアの実態について明らかにした。 対象は、A県HPの医療機関リストに掲載されている100床以上の病院(小児科・精神科病院を除く病院)41施設に勤務する看護師、独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の総合情報サイト(WAM NET)で検索したA県内の介護保険施設53施設、北陸3県の訪問看護ステーション221施設に勤務する看護師や介護職であった。研究依頼方法は、対象施設の管理者や看護管理者に研究協力の依頼に関する文書を送付、同意の得られた対象施設には、研究協力可能なスタッフ数について文書にて回答を求め、研究協力依頼文書を配布人数分、再度当該施設へ送付した。調査方法は、Web質問紙調査とした。 結果、各施設では対象者の情報源から難聴に関する情報収集は9割以上が行っていたが、ケア計画立案時に難聴の考慮については、医療機関、訪問看護ステーションは7割が考慮せず、介護保険施設では6割が考慮していなかった。補聴器についても学んだことがない者が9割にのぼっていた。 各施設における難聴者の把握と介入のためのケア計画立案の実態について明らかにすることができた。基礎教育機関や新人研修,施設内研修会で難聴を有する高齢者の理解や対応に関する学習の機会を充実させていく必要性が示唆された。また、適正な難聴への支援を取り入れていくことが認知機能の悪化を防止することに寄与すると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、第1段階の研究として、研究参加いただける複数の介護保険施設入所中の高齢者の認知機能や聴力、基本属性や生活歴等について、老人看護専門看護師や高齢医学科の医師、言語聴覚士等と協働し認知症高齢者の感覚機能障害(聴覚)の有無・程度と認知症のタイプや基礎疾患、生活歴等との関連を明らかにすることを目標としていたが、 コロナ禍の収束がみえず、介護保険施設の高齢者への調査を控えざるを得なかった。 その代替として医療機関や介護保険施設、訪問看護ステーション等の看護・介護職員の方々の認知症高齢者の方の難聴の把握とケア計画立案時の難聴の考慮について、まずは質問紙調査(Web調査)にて実態を明らかにした。ただし、今回の質問紙調査には科研費ではなく所属大学の研究費を優先的に使用した。科研費の使途は今後に使用する機器や、施設側への謝礼、感染対策物品、論文投稿等に用いたいと考えている。 Withコロナ時代、少しずつ高齢者施設の入室についても検討されているが、研究協力のために全面的に開放とはなるには今しばらく時間が必要である。この間、できる準備を進めていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、感染の収束を見込めないところではあるが、施設数を絞り感染対策を講じながら認知症高齢者のグループホーム入居者の難聴の有無とそれによるコミュニケーションや意思決定支援の齟齬の有無等について明かにする予定である。 難聴の有無、程度を明らかにするために『指こすり法』や日頃の支援記録、オーディオメーターを用いて把握する。さらに、聴こえの支援の有無、コミュニケーション上の不都合について面接調査を実施して利用者サイドから明らかにする予定である。 可能であれば、対話支援システムCommooon等を用いてその利用可能性と意思決定支援の検討を行いたいと計画している。
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Causes of Carryover |
令和3年度の研究は、コロナ禍のため、高齢者施設への入室が叶わず、研究チームを立ち上げることは断念したが、その代替として質問紙調査による実態調査を実施した。この質問紙調査には科研費ではなく所属大学の研究費を優先的に使用した。 次年度の科研費の使途として今後に使用する機器や、施設側への謝礼、感染対策物品、論文投稿等に用いたいと考えている。 Withコロナ時代、少しずつ高齢者施設の入室についても検討されているが、研究協力のために全面的に開放とはなるには今しばらく時間が必要である。この間、できる準備を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)