2023 Fiscal Year Research-status Report
ICT・職種間連携ツール活用によるCOPD増悪抑制の自己管理支援システムの構築
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21K11111
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北條 由美乃 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (20772388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 特任教授 (70242691)
高橋 宏子 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (80195859)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 多職種連携 / 在宅療養支援 / 慢性呼吸器疾患患者 / 情報共有システム / ICTネットワーク / 増悪抑制 / COPD / 自己管理支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
COPD/慢性閉塞性肺疾患を持つ対象(他の慢性呼吸器疾患を含む)の在宅療養における疾患管理目標は、自覚症状の軽減と増悪イベントの抑制に重点が置かれている。在宅療養に関わる多職種は、対象の症状評価や療養状況の情報を共有し、対象の自己管理をサポートしている。多職種によるチームでの支援は、ICTを利用して情報共有し、対象のセルフモニタリング能力を強化するとともに、増悪症状を初期段階でキャッチし、対象による早期対処(アクションプランの実行)により増悪を起こさないことが重要である。 本研究の第一段階として、令和2年、ICTによる多職種連携情報共有システムの運用の現状と課題についてアンケート調査により整理した。令和3年、アンケート調査の自由記述の分析から、多職種が利用する上での課題に関する調査が不十分であると判断し、追加調査を計画した。 令和4-5年、多職種連携情報共有システムを利用して連携している6職種(医師、薬剤師、看護師、リハビリセラピスト、看護福祉士、ケアマネージャー)のスタッフを対象とし、半構造化面接によりICTの効果的活用方法について調査を実施した。その結果、ICT活用の要因7つを明らかにした。また、ICTの活用方法はICT利用者の工夫によって多様に生起されていた。 今後は、ICTを利用している医療・介護・福祉職を対象として、明らかになったICTを効果的に活用する方法について教育的情報提供を行い、ICT活用の推進を図るとともに、在宅療養における自己管理支援の効果を検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度に計画した職種別のICT利用の課題調査に時間を要した。令和4-5年度に追加の聞き取り調査を実施し、令和5年度にはICT活用の要因を明らかにした。そこから、在宅療養支援における自己管理支援の課題を解決するための方略の検討に時間を要した。自己管理支援のシステム化の前段階として、ICTの活用をさらに推進する必要があり、現在はそのための教育的情報提供に取り組んでいる。また、ICTの利用によって在宅療養支援を行っている対象は、COPD患者だけでなく間質性肺疾患や肺がんを持つ患者が多いことも明らかとなり、幅広い慢性呼吸器疾患を持つ対象への自己管理支援を検討する必要があった。この取組と並列して、在宅療養における自己管理支援のシステム化を検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度(最終年度)は、これまでの調査結果をもとに、COPDをはじめとする慢性呼吸器疾患を持つ対象の在宅療養支援に携わる医療・介護・福祉職に対し、ICTの活用を推進する教育的情報提供を行う。また、慢性呼吸器疾患患者の増悪抑制を目的とした自己管理支援のシステム化について、多職種が協働可能な情報共有システムおよび、対象が実行に移しやすいアクションプランの共有システムを検討する。 当初の予定では、ICTを活用した増悪抑制の自己管理支援システムの構築とその評価を目指していた。しかし、これまでの調査において多職種連携のためのICT活用の現状と課題が明らかとなり、ICT活用の推進を図る途上にあるが、増悪抑制を目的とした自己管理支援システムの運用には至っていない。 慢性呼吸器疾患患者の療養の場は、近年着実に病院から地域在宅へと移行しており、その療養支援の方法も変化しつつある。例えば、ICTを活用したテレモニタリングや遠隔診療の発展などである。一方で、地域で複数のICTベンダーのシステムが入り混じって使用されており、混乱が生じている問題点なども挙げられる。 これまでの調査によりICT活用の推進による現状と課題が明確になったことは成果といえる。そこで、令和6年度は次の2つの調査を行う予定である。第一の調査は、前回調査から4年経過したICT利用状況の変化を調査し、ICT活用の拡大の状況と問題点を把握する。第二の調査は、ICT導入前後の対象の増悪発生頻度及び入院回数、現在の慢性呼吸器疾患QOL等を調査し、ICT活用による多職種連携が増悪抑制やQOL維持に有効かを検討する。これら2つの調査により、ICT活用による効果と新たに生じている課題と自己管理支援システムの在り方を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が遅延しており、教育に使用する予定の電子機器類の購入を令和6年度へ変更した。また、学会の開催がハイブリッド化しており、所属機関の業務上、感染リスクを低減するため学会会場への参加を控えており、旅費の使用が少なくなっている。
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Research Products
(2 results)