2021 Fiscal Year Research-status Report
代謝伝達物質としての乳酸から見えてきた、活動筋-交感神経フィードバック神経回路
Project/Area Number |
21K11461
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
増田 紘之 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 助教 (10738561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八坂 敏一 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (20568365)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 乳酸 / 骨格筋 / 筋交感神経活動 / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動時に骨格筋で産生される乳酸は、これまで単なる疲労物質と考えられてきた。しかし、近年、運動中に活動筋が盛んに産生する乳酸には様々な生理活性があることが分かりつつある。その一つとして、筋膜における乳酸受容器(代謝受容器)の研究が報告されており、この受容器で乳酸が検知されると、交感神経を介してフィードバックされ、筋へのエネルギー供給を高める。しかし、どのようなフィードバック回路が関与しているのかは不明である。そこで、骨格筋代謝受容器からの求心性神経回路が活動筋のエネルギー供給に重要な役割を果たすとの可能性を考えている。 この可能性を検証するために、「乳酸投与による骨格筋代謝受容器からの求心性情報がどのような神経回路を介して筋交感神経活動を促進するか(仮説1)」を同定し、さらに「運動時の乳酸産生が実際にこの神経回路を介して筋交感神経活動を促進するか(仮説2)」を確認する。 初年度は、仮説の検証を試みるまでに至らず、機材のセットアップを行なった。現在、セットアップの途中である。今後の方針として、仮説1では、実験動物の骨格筋にトレーサーを注入し、脊髄内の投射を調べる。この際、CGRPを免疫染色し二重に染まったものを筋代謝受容器からの終末とする。12週齢のWistar系雄性ラットの腓腹筋にWGA(小麦胚芽凝集素)トレーサーを注入し、3日の生存期間の後に還流固定を行い対応する脊髄領域を採取する。切片を作成し、WGAとCGRPに対する抗体で免疫組織化学染色を行い、二重に染まった終末の分布を観察する。予想される結果として、①投射細胞に直接シナプスしている、②インターニューロンを介した神経回路を構築している、③側角の交感神経節前細胞へシナプスする等が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度は、「乳酸投与による骨格筋代謝受容器からの求心性情報がどのような神経回路を介して筋交感神経活動を促進するか」との仮説1の検証を試みるためのセットアップの途中であり、進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
内容:実験動物の骨格筋にトレーサーを注入し、脊髄内の投射を調べる。この際、CGRPを免疫染色し二重に染まったものを筋代謝受容器からの終末とする。 方法:12週齢のWistar系雄性ラットの腓腹筋にWGA(小麦胚芽凝集素)トレーサーを注入し、3日の生存期間の後に還流固定を行い対応する脊髄領域を採取する。切片を作成し、WGAとCGRPに対する抗体で免疫組織化学染色を行い、二重に染まった終末の分布を観察する。 予想される結果:①投射細胞に直接シナプスしている、②インターニューロンを介した神経回路を構築している、③側角の交感神経節前細胞へシナプスする等が考えられる。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況:実験実施のためのセットアップの途中であり、進行が遅れている。未だ、実験動物の購入や神経生理、生化学実験試薬の購入の一部ができていないため、次年度使用額が生じている。
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:「乳酸投与による骨格筋代謝受容器からの求心性情報がどのような神経回路を介して筋交感神経活動を促進するか」との仮説1の検証に着手する。このための実験動物の購入や神経生理、生化学実験試薬を購入する。
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