2022 Fiscal Year Research-status Report
How to increase children's immersiveness in physical education classes
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21K11499
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
村瀬 浩二 和歌山大学, 教育学部, 教授 (90586041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 久貴 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (40634556)
梅澤 秋久 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90551185)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / アダプテーションゲーム / TDC / 没頭度 / 市民性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の成果物として、体育学研究への投稿論文が受理され公開された。これは特別支援学校におけるアダプテーションゲームの有効性であり、そこから合理的配慮の考え方の重要性が示唆された。 また、2022年度はアダプテーションゲームの実践を小学校1校、中学校3校において行った。ここでは、テニス、バスケットボール、バドミントンを実践し、それぞれの単元において、アダプテーションゲームを実践し、毎授業のなかで形成的没頭度尺度と振り返りを収集した。また、教師のインタビューも併せて行っている。このアダプテーションの実践過程において、子どもがゲームに夢中になる姿が見られたのは、チーム内やチーム同士でアダプテーションを行い、その調整に関わる交渉を行った時間であった。このような時間は、仲間や対戦相手を理解する機会となり、協働的な学びを促進していたことが確認できた。これは、没頭度尺度の集計結果からも確認できる。また、このようなアダプテーションゲームを行ったクラスでは、その後の単元においてもアダプテーションを用いようとする提案が子どもたちから出され、技能の高低に関わらず、全員で楽しもうとする態度が生まれていた。アダプテーションゲームを活用することで、ゲームにおける相手とのバランスを取り、ともに楽しもうとする意識が見られていた。これは特に、インクルーシブを受け入れる側(いわゆる健常児)にたいする学習が進んだことを意味する。これを共生社会における「市民性教育」と捉えることができよう。 さらに、それに加えてTDCを用いたゴール型の実践を合わせて行った。TDCは戦術理解を促進する手立てとして有効であり、アダプテーションゲームとも併せて活用することで、戦術理解を促進しながら共生を進める手立てとなる可能性を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アダプテーションゲームの実践研究は大きな成果を得ている。また、TDCもその中で活用しており、学修を促進する効果を得られている。一方で、その評価方法としての没頭度尺度を用いているが、この没頭度尺度の妥当性、信頼性の確認ができておらず、研究計画のなかではこの点が遅れている。ただし、データ収集はほぼ完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
アダプテーション・ゲームの実践研究は継続的に進行する。このなかでは市民性教育がキーワードになるであろう。つまり、アダプテーションを受ける側(運動を苦手な子ども)だけでなく、運動を得意とする側にもメリットがある互恵的な関係作りが実現できるであろう。これは、特別支援学級の子どもがインクルーシブ体育に入った際にも、周囲の子どもたちに学びがあったことを確認できた。これを市民性教育として解釈する予定である。 また、没頭度尺度についてはまだ完成していない。これまでのデータ収集においてほぼ十分な数が集まっているため、あとは因子分析や妥当性、信頼性の検証を行うことで尺度として汎用的に使用できるものとしていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、出張予定であった研究会がオンラインとなったため、次年度へと繰り越すこととなった。
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