2023 Fiscal Year Annual Research Report
遠投におけるボールのサイズおよび重量が発達段階の子どもの投げる能力に及ぼす影響
Project/Area Number |
21K11522
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
前田 正登 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (90209388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠投 / ボール / サイズ / 投げる能力 / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,遠投距離を目的とするボール投げにおいて,使用するボールのサイズや重量が異なることによって遠くに投げるための要因に違いが無いかを探るとともに,ボールの種類に関わらず,子どもの投げの能力を的確に評価しようとするものである。 本年度は昨年度までの研究をもとに,小学5年生を対象に,ソフトボール1号(以下Soft)とハンドボール0号(以下Hand),およびソフトボール1号と同程度の重量でハンドボール0号とほぼ同サイズのハンドボール0号(以下Red)の3種類のボールを用いて測定実験を行った。 各試技について,ボールの①投距離(実際にボールが投げられた距離),②初速度,③投射角度,④投射高,および②-④より投射後の空気抵抗を考慮しない場合のボールの到達距離(⑤理論投距離)の5項目を算出した。 分析の結果,Softの投距離と初速度はRedおよびHandのそれらよりも有意に大きかった。投射角度は,Soft,Red,Handの順に大きかったものの,SoftとHandの間の差のみが有意であった。また,投射高はいずれのボール間にも有意な差が認められなかった。ボール間で,投げ腕側の足が着地して以降リリース時までの獲得速度,所要時間,ストローク,運動量,平均力を比較したところ,獲得速度はSoft,Red,Handの順に大きかったが,所要時間は大きな差はなかった。また,この間のストロークはHandよりもRedがやや短かったものの,ボール間では大差がなかった。一方,運動量および平均力はSoftよりもRedが小さかったもののSoftよりもHand,RedよりもHandが大きく,Redが最も小さかった。これらのことから,小学5年生の遠投では,ソフトボール1号よりも大きいボールを使用すると投距離および初速度が減少すること,また,それにはボールに加えられる力の減少が要因となっている可能性が示された。
投距離
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