2021 Fiscal Year Research-status Report
小児期肥満早期介入の統合研究-動脈硬化性変化への介入と小児版特定健診の構築へ-
Project/Area Number |
21K11580
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田久保 憲行 順天堂大学, 医学部, 准教授 (20306583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 教授 (30260889)
高橋 健 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70343481)
田久保 由美子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (20385470)
春名 英典 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00420860)
横山 美佐子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (70439149)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 小児肥満症 / 血管内皮機能 / 動脈硬化性変化 / 成長、肥満度曲線 / 体組成と体脂肪量 / 新体力テストと筋力 / 小児版特定健康診査 / 多職種協働介入プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成29年度~令和2年度研究課題「小児肥満症の合併症に対する統合研究-動脈硬化性変化の解明と社会への啓発を目指して-」(基盤研究(C))の継続的な研究として、引き続き対象数を増やし糖質・脂質代謝異常や血管超音波検査、さらに小児での検討が少ない内臓脂肪測定を実施し、内臓脂肪蓄積や早期動脈硬化性変化に対する危険予測因子となるバイオマーカーを明らかとすること、同時に基準となる健常小児の血管内皮機能や、内臓脂肪測定も検討することを目的とする。また文科省通達により、平成28年度から学校健診における成長曲線、肥満度曲線の積極的活用が推奨され、体格の経時的推移を把握できる一方で、その有効的な活用法は検討されていない。そこで本研究で明らかにする合併症リスクのバイオマーカーと成長、肥満度曲線を基に小児版の特定健康診査を考案し、小児肥満のハイリスク者の抽出と保健指導のモデルの構築を目指す。令和3年度から引き続き血管内皮機能評価として、FMD法とEndo-PAT法による血管内皮機能の測定を、説明同意を得た肥満検診対象者並びに健常児で実施する。また小児版特定健康診査による小児肥満のハイリスク児も、説明同意を得た者を対象に前述したバイオマーカーの検討項目につき検査を実施する。従来から小児でも検討されてきたFMD法と、侵襲の少ない簡便な方法として用いるEndo-PAT法に相関関係を認めるか検討し、小児での血管内皮機能の指標としてEndo-PAT法の有用性の検証と、基準となる健常児のデータの蓄積を目指す。また小児における体脂肪量や除脂肪量の検討も少なく、年齢、性別の測定値を蓄積し検討するため、相模原市内の小学校をモデル校として選定し全校児童を対象に体組成測定を実施する。これらデータをもとに小児肥満での生化学的項目や血管内皮機能と、除脂肪量や内臓脂肪など体組成との関連性につき統計学的解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和3年度から引き続き早期動脈硬化性変化を捉える指標である血管内皮機能評価として、FMD法とEndo-PAT法による血管内皮機能の測定を、説明同意を得た肥満検診対象者並びに健常児で実施し、従来から小児でも検討されてきたFMD法と、侵襲の少ない簡便な方法として用いるEndo-PAT法に相関関係を認めるか検討した。小児での血管内皮機能の指標としてEndo-PAT法の有用性の検証と、基準となる健常児の年齢別、性別データの蓄積を目指し検討してきたが、いまだ対象数が少ないことが問題として挙げられる。また体組成測定をもとに、除脂肪量や内臓脂肪と早期動脈硬化性変化との関連性につき統計学的解析をすすめているが、データの蓄積が不十分である。これら問題点の解決策として相模原市内の小学校をモデル校として選定し、全校児童を対象に測定する計画をすすめてきた。相模原市内の小学校1校を選定し、平成31年4月、令和1年5月、10月に、全学年約680名の体組成測定を実施して、データの集積を行った。同時に文科省の新体力テストの結果との関連解析を実施し、体脂肪量や除脂肪量と、運動能力との関連につき解析中である。また血管内皮機能を測定した児についても、体組成測定のデータや新体力テストの結果と血管内皮機能のデータとの関連について解析中である。令和3年の春の学校健診で同様に全学年を対象に体組成測定を実施し、同一児童の縦断的なデータも合わせて検討することも計画していたが、コロナウイルス感染症拡大により3密になる可能性を鑑み、令和2年度から引き続きこれら介入研究は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の取り組みとして、早期動脈硬化性変化のバイオマーカーや血管内皮機能、体組成との関連解析とともに、引き続き小児版特定健康診査と保健指導モデルの構築の検討を行う。また、行政主導で実施している児童生徒肥満児検診事業との連動を図るため、相模原市医師会の児童生徒肥満管理委員会の委員として参画している。 平成29年度のインタビューの検討から、学校現場では成長曲線の意義並びに使用上の課題、および小児肥満の対応への課題が可視化された。引き続きモデル校の養護教諭、校医、研究者で、成長曲線・肥満度曲線の専用ソフトの導入と小児肥満ハイリスク者のスクリーニング方法への応用につき検討している。学校健診の結果を基に、小児版特定保健指導として動機づけ支援および積極的支援対象者を抽出し、抽出した児について体育の授業や放課後の時間を利用して、学校内で実施する動機づけ支援の内容の具体的な項目を検討する。また、現在実施している介入プログラムを小児肥満のハイリスク者の積極的支援の一環として位置づけ、体組成や早期動脈硬化性変化を捉えるバイオマーカーと、文科省の新体力テストの結果を用いつつ個々の児に合わせた支援の内容の改良を試みる。現在までに同じ肥満度であっても、体組成における除脂肪量の相違から運動能力には有意な差が生じており、体脂肪量の違いから血管内皮機能などバイオマーカーにも差が認められる結果を得ている。これら結果から、肥満度のみの評価では小児肥満を正しく捉えることに限界がある可能性が示唆され、体組成測定を含めた多角的な評価が必要であると考えている。こうして学校保健事業と医療関係者との連携を図り、将来の生活習慣病ハイリスク者への支援体制を構築し、生活習慣病予防の必要性の啓発と実践に繋げてゆきたいと考える。医療経済的な観点からも、医療費削減に繋がる重要な課題のひとつと考え研究を推進したいと考える。
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Causes of Carryover |
前述の通り、健常者の体組成測定の解析対象者数が十分でないため、測定値の収集が必要と判断し研究期間を延長した。しかし前述のとおりコロナウイルス感染症拡大に伴い、令和2年度に引き続き令和3年度も学校健診自体が縮小され研究が実施できなかった。そのためさらに1年研究期間を延長し、引き続き選定したモデル校1校の小学1学年~6学年約680名の体組成測定を予定している。また文科省新体力テストの成績との関連解析を実施し、体脂肪量、除脂肪量と運動能力の特性を検討する予定である。さらに縦断的解析から、小児肥満に対して肥満度の評価だけでなく、体組成における体脂肪量と除脂肪量を併せて評価すべきであることが明らかになりつつある。すなわち、同じ肥満度であっても、体組成における除脂肪量の相違から運動能力には有意な差が生じており、体脂肪量の違いから血管内皮機能などバイオマーカーにも差が認められた。これら結果から、肥満度のみの評価では小児肥満を正しく捉えることに限界がある可能性が示唆された。これら関連解析の精度を上げるためにも、対象者数を増やす必要がある。しかし現在上記の理由から、各種測定値の収集や関連解析などの研究計画に大幅な遅延が生じている。そのため個人を特定できない形で相模原市医師会で実施した肥満検診事業の体格データの利用を検討し、現時点で連結可能なデータからの解析を検討する。
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