2021 Fiscal Year Research-status Report
食育を目指した保健指導への挑戦:行動療法的方法論に基づいた糖尿病前症の対策
Project/Area Number |
21K11625
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 定期健康診断 / 糖代謝異常 / 脂質異常 / 肝機能障害 / 内臓脂肪型肥満 / 高度肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画通り、過去の健康診断データをサマライズから行った。BMI<25群(非肥満群)では、脂質異常が約25%程度、肝機能障害や高血圧は10%程度、一方で糖代謝異常は1%程度で、脂質異常が最も多かった。一方で25≦BMI<30群(肥満1度)になると、それぞれの割合は増加するが、肝機能障害の割合が約4倍となっており、増加率が最も高かった。これまでのデータと合わせて考えると、糖代謝異常の増加は、肥満1度から肥満2度で急激に上昇する。一方で、非肥満から肥満1度においては、肝機能障害(おそらく脂肪肝)が最も増加している。つまり、体重増加においては、脂肪肝が最初に健在化してくることがわかり、また非肥満で脂質異常の割合が高かったのは、医学部職員は20-30代の女性(主に看護師)の割合が多く、甲状腺機能異常によるコレステロール高値がその割合を引き上げている可能性があることが推察された。 昨今の15年間では、BMI≧25群(肥満1度以上:肥満者)の割合は18%程度で横ばいであったが、30≦BMI<35群(肥満2度)とBMI≧35群(肥満3度:高度肥満)の割合は年々増加しており、高度肥満の割合は4倍になっていた。つまり、肥満者の重症化、また健常体重者と高度肥満者の2極化が課題になってくると思われた。一方で、高度肥満では、全例が内臓脂肪型肥満のウエスト周囲長の基準を満たしており、何らかの生活習慣病を有意していた。また運動器疾患の合併率は、BMI<35群では、せいぜい5%程度で、BMI<25群(健常群)と25≦BMI<30群(肥満1度)と30≦BMI<35群(肥満2度)の間に差はなかったが、BMI≧35群の高度肥満になると15%を超えており、過体重による併存疾患の合併が大きく追加される。少なくとも我々のデータでは、生活習慣病を持たない高度肥満者はおらず、多方面からの介入が必要であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去15年間の職員健康診断のデータをサマライズした。糖代謝異常の増加は、肥満1度から肥満2度で急激に上昇すること、一方で、非肥満から肥満への移行においては肝機能障害が最も増加しており、脂肪肝の健在化がポイントになること、また非肥満で脂質異常の割合が高かったのは、若年の女性の割合が多く、甲状腺機能低下症に伴うコレステロール高値がその割合を引き上げている可能性が高いことなどが判明した。さらに肥満者の重症化が課題になってくること、特に高度肥満では、全例が何らかの生活習慣病を有意しており、運動器疾患の合併率は、BMI<35群の3倍となっていた。 健康診断後には、健康診断を実施した業者から健診結果の報告とともに、一定の基準を超えた方々には、医療機関の受診を勧める連絡が入るようになっている。しかしながら、医療機関の受診率は必ずしも高いとは言えない。そのため、産業医からも職員への個別の保健指導を実施してきたが、新型コロナの蔓延から、来室での保健指導は控えている。その代わりに、異常値のレベルが大変気になる職員には、医療機関受診を勧める文書を送った。また新型コロナワクチン接種の予診時に対面で指導するように調整した。このように、職員健康診断データから問題点を抽出し、新型コロナ禍ではあるが、可能な限りの個別指導と啓蒙活動を行ってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には研究計画に則って研究を進める。現在、各事業所においてはストレスチェックも実施することが求められており、健康診断データとストレス、過重労働間の関係や問題点を検討する予定である。新型コロナの状況によるが、可能な限り、対面指導を行っていきたいと思っている。
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Causes of Carryover |
一番大きな理由は新型コロナの蔓延で研究自体に関わるエフォートが減ったことである。一方で、初年度はこれまでのデータの解析やまとめ、問題点の抽出が主体であり、元来予算を使用せずにできることが多かった。また学会で発表するにしても、現地で発表する機会が減ったこともあげられる。次年度の使用額については、当初の計画通り、旅費や消耗品費として使用する予定である
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