2021 Fiscal Year Research-status Report
就業者の潜在的なPTEリスク群に対する一次予防効果の検証
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21K11656
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久徳 康史 中央大学, 研究開発機構, 機構准教授 (70569706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀 一平太 中央大学, 理工学部, 教授 (20399380)
山科 満 中央大学, 文学部, 教授 (40306957)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心理的一次予防 / 就業者 / 心理的状態 / Well-being |
Outline of Annual Research Achievements |
2021度の計画では、就業者の中で心理的に脆弱性が高いリスク群をインターネット調査により抽出し、ポジティブな文章の穴埋めを行うCognitive Bias Modification-Appraisal (CBM-App)課題をはじめとした実験的介入を実施することを予定していた。これにより、心理的状態の改善効果を検証し一次予防につながる知見を得ることを目指した。しかし、リスク群を対象にCBM-App課題などの実験的介入をするためには、対面で研究を実施する必要があり、コロナ禍で実施することには支障があった。そのため、オンライン調査で就業者を対象として、コロナ禍でも支障がない3つのよいこと(Three Good Things; TGT)課題群と3つの悪いこと(Three Bad Things; TBT)課題群に対する心理的状態の差を検証した。具体的には、オンライン調査票を用いて600名の20歳以上の就業者を研究参加者としてリクルートし、課題を3日間継続して検証をした。これらの回答者をTwo-step cluster分析を用いて、就業に関してネガティブな感情を抱いている脆弱群を抽出し、3日間課題を実施した際の心理的・社会的変数に関する影響を検証した。その結果、TGT課題群はTBT課題群と比較して不安を感じることが少なく、社会的関係性も良好だとする主観的評価が見られた。この様にごく短期間TGT課題をすることで脆弱群の心理的状態が改善することが明らかになった。精神的に脆弱性が高い就業者に短期間の介入をすることで心理的状態が改善することが明らかになったことは、精神的状態によりWell-beingや生産性が低下することを予防することが期待されるため、社会的意義が高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、当初の計画では今年度就業者の中で心理的に脆弱性が高いリスク群を抽出しCBM-App課題などの実験的介入を行い、心理的状態の改善効果を検証することを予定していた。しかし、コロナ禍の影響で研究計画を修正する必要が生じた。そのため、CBM-App課題の代替策としてTGT・TBT課題を用いて疑似実験的調査を実施した。その結果、CBM-App課題と同様にTGT課題による心理的状態の改善が見られることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は従来計画していたCBM-App課題などの実験的課題だけではなく、TGT・TBT課題や他の心理的課題を反映した、介入法を検証する。これにより、次年度は、より効果的で社会的意義の高い一次予防的アプローチを構築することを目指す。
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Causes of Carryover |
先述の通り、コロナ禍によりCBM-App課題を実施することに支障が生じたため研究計画を修正する必要が生じた。そのため、差額は調査費や実験費に充てる。具体的にはCBM-Appをはじめとしたより効果的な介入法を検証するための調査費・実験費に充てる。
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