2021 Fiscal Year Research-status Report
破骨細胞様細胞を標的とした炎症性腸疾患の新規栄養療法の開発
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21K11680
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
竹井 悠一郎 高知県立大学, 健康栄養学部, 講師 (10711377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
隅田 有公子 高知県立大学, 健康栄養学部, 助教 (70781897)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、わが国における炎症性腸疾患(IBD)の罹患者数が増加している。しかしながら、IBDの発症・重症化の機序は十分に理解されておらず、その根治には至っていない。 従来、破骨細胞は骨組織にのみ存在すると考えられていたが、われわれは、骨外組織である血管で破骨細胞に極めて類似した細胞(破骨細胞様細胞;OCLC)が存在することを明らかにし、また、血管におけるOCLCが血管壁を破壊し、動脈瘤の発症・進展に関与することを報告してきた。 腸管の粘膜固有層には破骨細胞の前駆細胞である単球・マクロファージが多数存在すること、また、炎症は破骨細胞形成を誘発させる一因であることから、腸管にもOCLCが発現する可能性があると考え、このOCLCがIBDの発症・重症化に関与していると推測し、当該研究を進めてきた。 初年度の研究成果は以下の通りである。 1.IBD患者およびIBDモデルマウスから回収した腸管の検体から、破骨細胞特異的なTRAPの陽性細胞が認められた。2.破骨細胞の活性を抑制させるビスホスホネート製剤がIBDモデルマウスの死亡率を有意に抑制させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後、より精査が必要となるが、ビスホスホネートにより一定の治療効果が得られ、IBDにおけるOCLCの関与が示唆されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
IBDモデルマウスを用い、ビスホスホネートによるIBDの抑制効果についてより詳細に検討していく。また、腸管におけるOCLC発現の機序を解明し、治療のターゲットになる因子を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
潰瘍性大腸炎モデルマウスの作製に使用する薬剤(DSS)に費やした金額(536千円)は当初の予定より大幅に高額になった。これは、予定よりもモデルマウス作製の検討に金額がかかったこと、また、次年度の使用量を考慮して多めに購入したためである。一方、実験動物購入費の多くを所属機関の教員配分研究費で負担することとした。また、当該年度、購入を予定していた液体窒素容器(180千円)についても、所属機関からの研究費で購入したため、差し引きで支出額が予定より低くなった。 また、研究分担者に配当していた研究費(50千円)が次年度に繰り越されたことも原因となっている。 生まれた差額は、次年度以降の当該研究遂行のため、使用していく。
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