2022 Fiscal Year Research-status Report
社会的処方の実践は社会的孤立のリスクが高い高齢者の身体活動量を高めるか?
Project/Area Number |
21K11733
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
佐藤 真治 帝京大学, 医療技術学部, 教授 (60529973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 関西医科大学, 医学部, 教授 (60298859)
泉 美帆子 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 講師 (60511128)
都竹 茂樹 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (70467869)
黒瀬 聖司 関西医科大学, 医学部, 講師 (80825951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的処方 / 身体活動量 / 社会的孤立 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】英国では高齢者の社会的孤立を予防するために,医師が社会的課題を抱えた患者を地域の社会活動(交流コミュニティ,ボランティア活動など)とつなぐ社会的処方が制度化されている.この制度下で,リンクワーカーと呼ばれる職種は,地域社会活動の担い手と連携し,どのような社会活動がいつ・どこで・どのようにおこなわれるのか把握し,医療機関から依頼のあった患者に紹介し,継続的参加のための支援を行う.本研究では、本邦への社会的処方の導入可能性を検討するため,地域在住高齢者の社会活動参加促進の実践をおこない、検証する。 【活動内容】本活動は,効果検証のための介入研究のパイロット試験として計画したが,新型コロナウィルス感染拡大下で実施可能な形態を模索して行った.事前に計画していた内容は以下である.対象:東京都杉並区高円寺周辺在住で慢性疾患を有し社会的孤立のリスクが高い65歳以上の男女.活動の流れ:杉並区内診療所の医師は対象者候補を選出,研究者は研究内容説明と同意取得とリンクワーカー初回面談の設定,リンクワーカーは参加者と面談し,社会活動の紹介,継続の支援を行う.想定する地域社会活動:ラジオ体操,フラワーアレンジメント,散歩の会など.”社会的孤立のリスクが高い”の定義:“同居者以外との対面・非対面の交流が週一回未満の状態”,慢性疾患:高血圧,脂質異常症,2型糖尿病,慢性腎臓病,虚血性心疾患,変形性膝関節症,腰痛症.評価:介入を行わない対照群を設け,ベースラインおよび介入半年後に,身体活動量指標の歩数,社会的孤立・フレイルの程度,幸福度を測定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の活動は,医師ではなく社会福祉協議会・地域包括ケアセンター職員,地域の銭湯従業員,地域住民により,また,選定基準を一部変更して2020年12月以降に対象者勧誘を行うこととなった.ベースライン特性と活動参加状況は,参加同意者24人中,活動開始から半年後の測定会を待たずして脱落した者4人(継続率:83%),対象者は女性12人(60%),年齢平均76歳,慢性疾患患者19人(95%)であった.社会活動の内容は,「高円寺夕焼け散歩」,商店街で挨拶を交わす「Say Hello!プロジェクト」,「孤食の人に供食の機会を提供するキッチンカー」などであった.リンクワーカーは,社会的処方に関する教育を受けた看護師,理学療法士,社会福祉士,公衆浴場従業員などであった.
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Strategy for Future Research Activity |
本邦への社会的処方の導入を想定して地域住民の慢性疾患を有する高齢者の運動量増進,栄養状態改善,社会参加促進の取り組みを行った結果,対象者をリンクワーカーにつなげる手順に課題があると考えられた.一方,一度活動に参加した者の継続は良好であった.今後の活動持続および事業規模拡大のため,リンクワーカーと医療機関,地域の支援窓口である社会福祉協議会や地域包括支援センターと密な情報共有を行うプラットフォームの構築が重要である.今後さらに、対象者,実施者を対象とした質的および量的な調査研究によるエビデンス創出につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は研究期間最終年となるので、研究結果をまとめて論文化を目指す予定である。積み残した助成金は学会発表および論文化に必要な経費として使用する。
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Research Products
(3 results)