2021 Fiscal Year Research-status Report
Search, Recommendation, and Visualization Techniques for Applying Television Archives to Cognitive Bias Mitigation
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21K11950
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
片山 紀生 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 准教授 (60280559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テレビアーカイブ / データアナリティクス / 認知バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
社会の隔絶化や高齢化により、人々の情報獲得に偏りが増大する現象が進行しており、確証バイアスや正常性バイアスなどの認知バイアスが社会問題になっている。本研究では、認知バイアスの補正には、多様な情報に触れることが不可欠であると考え、テレビアーカイブを用いた情報探索、情報推薦、情報可視化により、専門家から一般まで多様なユーザに対して、情報獲得範囲を拡大するためのプラットフォームを提供することを目的としている。テレビ放送はオールドメディアと呼ばれ、若者のテレビ離れが進んでいると言われているが、その一方で、同報性、広域性、信頼性の点でメリットがあり、防災・防犯・保健・福祉等の情報伝達においては、現在でも大きな役割を担っている。初年度となる令和3年度には、テレビアーカイブをそのような目的で解析するための手法のひとつとして、テレビ報道における定型表現に着目した重要語句等の抽出・解析・視覚化を基盤として、テレビ報道に対する気付きや再認識を支援できる手法を探求した。具体的には、テレビアーカイブを用いた防災・安全のためのアナリティクスにおける定型表現に着目した情報抽出・可視化の有効性について検証するとともに、そのための情報抽出の手段として、形態素列に対する正規表現照合の略記法を考案した。そして、解析事例として西日本豪雨やコロナ禍でのテレビ報道に着目し、テレビ報道における注意喚起の状況を把握するのに有効であることを検証した。テレビアーカイブを用いた防災・安全のためのデータアナリティクスは、災害・事故の解明・予防にとって有用であると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究期間を3年としており、初年度となる令和3年度では、テレビ報道の相互関係の検出法の実現を計画していた。その目標をおおむね達成できたことから、「おおむね順調に進展している」ものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度には、令和3年度の成果を受けて、テレビ報道の相互関係の可視化技術に取り組む考えである。研究代表者はこれまでニュースショットを俯瞰的に可視化するための技術として News Shot Cloud という表示法の研究を進めており、それをベースに拡張する計画である。News Shot Cloud は、同一ショット検出によって検出されたショットの代表画像を、雲状に配置して表示する技術である。一方、認知バイアスの補正においては、詳細度を段階的に深めていくなどユーザとの対話が不可欠であるため、対話的な操作性も重要になる。そのため、並行して、視認性と操作性の両面で効果的なユーザインタフェースの設計も進める考えである。文字情報と視覚情報の統合が課題であり、双方の利点を活かすことが鍵であると考えている。
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