2023 Fiscal Year Annual Research Report
「体感」により「教える技能」の伝達を支援するシステムの開発に向けた学際的基盤研究
Project/Area Number |
21K12182
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松居 辰則 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (20247232)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教える技能と技術 / 暗黙知 / 体感 / オントロジー構築 / VRにおける没入感 / 安心感・信頼感・共感の生成 / 非対称なインタラクション / フレームワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「教える技能」を「体感」を通して伝達するための仕組みを検討して,具体的な伝達支援システムを開発するための基盤を学際的視点で検討することにあった.ここでの「技能」とは「暗黙性が高く形式化困難であり他者へ伝達が困難」であり,これに対して,「技術」とは「形式化可能であり他者へ伝達が可能」であると考える.さらに,「技能」とは「何を教えるか(対象領域)」に独立であり,「技術」は対象領域に独立である部分と対象領域に依存して決定する部分が混在するものと考える.つまり,対象領域に関するある程度の知識と教える技能と技術を有していれば,「教える」ことの熟達化が進むものと考えられる.すなわち,「技能」は転移可能であり普遍的な「知」であることが重要な特徴である.「技術」に関しては,対象領域に依存する部分と独立の部分を分離して,独立の部分に関するオントロジーを構築し,利用者の状況やニーズに応じて適切に支援可能な仕組みの基盤を形成する.「技能」に関しては,「体感」を通して伝達を支援するシステム開発のための要素技術を検討する. 3年間の研究を通して以下のことに関する成果を得た.(1)熟達者の有する暗黙性の高い知識(上記の「技能」に対応する)を形式化するための汎用的な記述フレームワークの開発(オントロジー構築の基盤となる),(2) 「体感」としての伝達感の評価手法の検討,(3)「体験」の基礎となる安心感,信頼感,共感,倫理観に関する認知的な情報処理モデルの構築とインタラクションでの実証性の検討,(4)VR環境における認知状態の変容(没入感,プロテウス効果)に関する実証的研究.特に,(1)では専門職,ソフトウェア開発など対象領域に依存することなく適応可能であることを確認している. なお,コロナ感染症の影響により企業研修等の現場でのデータ収集が困難となり計画に比して基礎的な研究にとどまった.
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