2021 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな社会形成を促すインタラクティブメディアと体験デザインの開発
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21K12201
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
望月 茂徳 立命館大学, 映像学部, 准教授 (00454504)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インタラクティブメディア / 障害者 / インクルーシブデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人を惹きつけ、参加や関係構築を促すインタラクティブメディア技術が、障害のある人々における創造的な活動への参加をどのように促進するかを着眼点し、持続的で包摂的な社会形成を即すために、「身体的なバリア」だけでなく健常者も含めた「意識 のバリア」を取り除く、創造的なインタラクティブメディアと体験デザインの開発とその検証を行うことを目的としている。 令和3年度は、研究者がこれまで行ってきた研究課題との接続性や発展性を踏まえ、海外大学の共同研究機関と具体的な実施内容の議論を進め、改めて先行研究の精査を行った。芸術におけるインクルーシブなテクノロジーデザインの他のいくつかの例では、障害を持つ人々の機会と発達のニーズをさらに高め、文化活動への参加への誘いを広げ、個人の好みを拡大する触媒として機能することが示されている。また、これまでの研究課題で行ってきた、オンライン交流を組み合わせたハイブリッド・ワークショップ・プログラムを通じて開発された芸術活動支援と技術的な実装について精査を行った。障害の有無に関わらずコミュニティ活動に参加し、その一員であると感じることを可能にするオンラインメディアやオンライン上の仮想空間を提供することは、個人の主体性の感覚と、将来にわたって持ち続けることができる能力の開発を促進することができる可能性があると議論を行った。またさらに、将来的なパンデミックの行動制限の緩和以後も念頭においたオンラインや仮想環境が創造的なインタラクティブメディアと体験デザインも考慮した今後の開発や検証の実施について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度においては、新型コロナウィルス感染症および変異種の再拡大により、実地の訪問を伴うワークショップやフィールドワークを行うことができなかった。そのため、研究協力団体や共同研究者へのヒアリングや議論についてはオンラインネットワークを活用した方法のみで行われた。特に、感染症拡大の状況や制限緩和の政府方針が国ごとに異なるため、海外大学の共同研究者との研究計画については情報を慎重に収集しながら再設定することとなった。一方で、令和3年度後半からは海外での制限緩和の兆候が見られたため、令和4年度に向けた具体的な共同研究について計画を立てていくことができ始めている状況である。以上により、新型コロナウィルス感染症拡大の影響は依然大きいものの、これまでのコロナ禍での共同研究の蓄積や経験を踏まえ、若干の遅れもないとは言えないが、概ね順調に研究を進めている状況と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方として令和4年度においては、過年度よりインクルーシブなテクノロジーデザイン開発と障害のある芸術家コミュニティの支援について共同研究を進めてきている実績のあるRMIT大学の共同研究者らとの国際的な共同研究を進めていくことを主な柱とする。具体的な目標としては、令和4年にオーストラリア、メルボルンを拠点に行われる障害者に着目した芸術祭の出展を題材とし、オンラインおよび対面のハイブリッド型により、障害のある芸術家コミュニティに対して芸術活動を支援するテクノロジー開発と実装、および検証を行う予定とする。この芸術祭は、The Big Anxiety Festivalと呼ばれ、芸術家、学術研究者、科学者、福祉従事者からなる専門家と市民によって先進的なメンタルヘルスケアの取組について交流する機会ともなっている。また、この間の共同研究については引き続きオンライン会議システムを継続的に利用して議論や準備を行っていくが、現時点でオーストラリアの渡航制限が緩和されてきていることを踏まえ、社会状況を引き続き慎重に注視しながら機会を見極めたうえで実地での研究活動も検討を行っていくこととする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症および変異種の再拡大により、実地の訪問を伴うワークショップやフィールドワークを行うことができず、また、海外との共同研究においても、感染症拡大の状況や制限緩和の政府方針が国ごとに異なるため、海外大学の共同研究者との研究計画については情報を慎重に収集しながら再設定することになったことが理由として挙げられる。一方で、すでに整備されていたオンラインネットワークを活用した共同研究の議論を行うことはできていた。 また、これまでに採択されていた科学研究費の研究課題が新型コロナウィルス感染症の拡大により、もともと大きな影響を受けていたため昨年度末において延長申請を行わざるを得なかったことも理由として影響していると言える。 上記の理由により次年度使用額が生じたが、今後の研究の推進方策で述べたように、オンラインおよび対面のハイブリッド型により、具体的な障害のある芸術家コミュニティに対して芸術活動を支援するテクノロジー開発と実装、および検証を行うものとして執行を行っていく予定である。
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