2021 Fiscal Year Research-status Report
Trim43が放射線による受精卵発生停止に与える分子機構の解明
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21K12239
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 昭教 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (60549567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長町 安希子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (20585153)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 受精卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠期における低線量放射線が与える影響に関しては未だ不明な点が多い。C57BL/6Nマウスを用いた体外受精によるこれまでの研究で媒精後5時間が放射線感受性期である可能性を示唆しており、特に低線量放射線照射において胚盤胞期胚以前での発生停止が見られている。受精卵に放射線照射を行った桑実胚の遺伝子発現解析から発生停止に関わる遺伝子としてTrim43遺伝子群を同定した。 Trim43遺伝子群の低線量放射線照射による着床前期発生過程における発生停止メカニズムを明らかにするために、マウスTrim43ポリクローナル抗体を作成することとした。Trim43は、マウスではTrim43a, Trim43b, Trim43cが存在している。それぞれがゲノム上の同じローカスに存在し、ホモロジーは核酸レベルで97%、タンパク質レベルでも92%を超えているため、これらそれぞれに対する別々の抗体の作成は難しいと考えられた。次世代シーケンサーを用いた受精卵のトランスクリプトーム解析を行った結果、100 mGy、1 Gyの放射線照射時に発現が強く、大きく変化しているTrim43bを基準としてペプチド配列の作成を行った。ウサギ皮内にペプチド抗原を5回注射(0.15 mg, 0.3 mg, 0.3 mg, 0.3 mg, 0.3 mg)した後、全採血を行った。抗体の評価をELISAにて行い、抗体価がコントロールに比べて上昇していることを確認した。また、ウエスタンブロッティングにおいても強制発現させたTrim43bタンパク質を認識していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに受精卵に0.1 Gyと1 Gyという異なる線量の放射線を当てた際に起こる受精卵の反応を確認し、そのメカニズムに係る遺伝子としてTrim43遺伝子群を同定した。このTrim43による分子メカニズムを調べるために抗体を必要としているが、市販されている抗体では不十分であると考えたため、マウスTrim43ポリクローナル抗体を作製した。作製した抗体について評価を行い、Trim43bを認識していることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている桑実胚段階から胚盤胞期胚への過程での受精卵の停止に関わる分子メカニズムについて抗体を用いて検討する予定である。抗体の精製等を進めることで抗体の力価を高め、ウエスタンブロッティングや免疫染色等でよりバックグラウンドを抑えた特異的な検出を行うことを可能とし、細胞でのTrim43bの局在、役割について詳細な検討を進める。
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Causes of Carryover |
条件等の検討がスムーズに行うことが出来たため次年度使用額が発生している。今後の細胞培養や生化学・分子生物学で使用する抗体等の購入費用として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)