2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the high functional thermosetting resin to contribute effective use of unutilized marine biomass
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21K12318
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
井上 陽太郎 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (00372136)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 海洋バイオマス / 魚油 / 鯨油 / エポキシ化 / 熱硬化性樹脂 / 複合材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度において、エポキシ化魚油(EFO)およびエポキシ化鯨油(EWO)と酸無水物からなる熱硬化性樹脂を作製し、機械特性を評価してきた。今年度は、より強靭な海洋バイオマス熱硬化性樹脂を作製することを目標とし、第一にバイオベース架橋剤の探索を検討した。バイオベース架橋剤の中でも、酒石酸無水物誘導体(DAcTA)を架橋剤をとし、EFOと熱硬化させると、不均一であるが褐色の熱硬化性樹脂を得た。引張試験により機械特性を評価したところ、破断強度は11.3MPaを示した。 続いて、バイオベースエポキシ化合物を少量添加することにより機械特性の向上を検討した。具体的には、フランとアセトンの縮合反応からビスフラン誘導体を合成し、Vilsmeier-Haack Reactionによるホルミル化、アルデヒドの還元に引き続き、グリシジル基の導入を行い、ビスフランジグリシジルエーテル誘導体(BFDGE)を合成した。 EFOのエポキシ基に対し、BFDGEを0.1当量を添加し、架橋剤としてエポキシ基に対し0.5当量の4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸無水物(MHPA)を混合し、加熱硬化させると、黄褐色透明な熱硬化性樹脂を得た。得られた熱硬化性樹脂の機械特性を評価するためにBFDGEが無添加の時の破断強度が7.0 MPaであったのに対し、破断強度は11.7 MPaにまで向上した。さらに、EFO、0.1当量のBFDGEおよび0.65当量のMHPAから混合加熱硬化させることにより、熱硬化性樹脂の破断強度は15.1 MPaにまで達した。 さらにキトサンゲルから凍結乾燥法に依り作製した多孔質性キトサンやキチン不織布に対し、EFOと熱潜在性酸発生剤の混合溶液を含浸させ、プレス機を用いて、加圧熱硬化させることにより、全てが海洋バイオマスから構成される複合材料を作製することに成功した。
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