2021 Fiscal Year Research-status Report
戦略的資源利用のための静脈と動脈を連動させた産業連関分析手法の開発
Project/Area Number |
21K12336
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾下 優子 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任講師 (50709227)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 資源の排出構造 / 重要資源 / 静脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、社会経済への影響や変革を考慮した戦略的かつ効果的な資源利用システムの構築するために、資源の排出構造(静脈)と財・サービスの生産構造(動脈)の連関関係を体系的に示し、それぞれの変化による波及影響を分析可能とする「静脈と動脈が連動した」手法の開発が目的であり、A) 重点分析対象とする重要資源についての調査、B) 重要資源の排出構造についての調査、C) 重要資源の利用技術の調査および利用部門の選定、D) 資源の排出構造(静脈)と利用構造(動脈)を連動させる分析手法の開発、E) 資源の回収・利用システムの分析、F) 社会経済システムの変革による資源排出量への影響分析のケーススタディ、G) 分析結果の可視化、のフェーズ・項目によって構成されている。令和3年度の実施内容は以下の通りである。 A) 重点分析対象とする重要資源についての調査:今後の技術開発の観点、環境負荷低減や地域循環共生圏の観点、希少性の観点などから、特に重点的な分析が必要な重要資源を、政府や官公庁の資源戦略や専門家へのヒアリングから検討した。 B) 重要資源の排出構造についての調査:重要資源が、どの産業・最終消費者からどのような性状で排出されるのか、の調査を行った。 C) 重要資源の利用技術の調査および利用部門の選定:重要資源の利用技術システムについて、文献調査や専門家・自治体・産業へのヒアリングを基に調査を行い、資源の供給先となる資源利用部門の選定および投入構造を作成方法について検討を行った。例えば、電気機器に利用されている金属製品がバージン材とリサイクル材から生産される場合のフローの違いなどの比較を行った。 G) 分析結果の可視化:物質のフローを体系的かつ視覚的に表すマテリアルフロー分析や、価値の流れを視覚的に表す構造経路分析など、分析結果を可視化方法の試行・検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な観点での資源の重要性、再資源化の必要性の検討、またその排出・利活用構造の調査・検討を行っている。それらの内容について専門家らと意見交換をしつつ、手法等の再検討も行っている点で、今年度の実施目標を達成している。 また、地域や産業など現場との意見交換や調査も活発に行っており、実装可能性の高い戦略的かつ効果的な資源利用システムの構築に資する研究の準備を整えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、文献や専門家・現場へのヒアリングを継続し、資源排出部門や処理・加工部門、再生資源部門、再生資源を活用した製造部門などの拡張を行い、資源の排出構造(静脈)と利用構造(動脈)を連動させる分析手法開発の準備を行う。 また、社会経済システムの変革による影響のケーススタディのためのシナリオ作成にも取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の流行のため、計画していた出張がキャンセルとなったため。 来年度は感染症の流行状況を鑑みつつ、出張もしくはリモート会議等に必要な物品購入・調査などを行う。
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