2021 Fiscal Year Research-status Report
近代日中女性の「非体制」の模索とジェンダー:竹中繁 ・月曜クラブ・一土会を中心に
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21K12516
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
須藤 瑞代 京都産業大学, 国際関係学部, 准教授 (70844687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 眞紀子 日本大学, スポーツ科学部, 教授 (00364208)
石川 照子 大妻女子大学, 比較文化学部, 教授 (50316907)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジェンダー / 日中関係 / 女性史 / 近代 / 中国 / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日中関係の悪化から距離をとり、改善の道を探ろうとする1920~40年代の女性たちの動きを「非体制」の模索と位置づける。月曜クラブと一土会は、東京朝日新聞社初の女性記者・竹中繁(1875~1968年)が主催した女性のみで構成された研究会である。これらの会では、中国との関係改善を女性によって成し遂げようとする意識が醸成され、積極的な活動が行われていた。本研究は、これらの会のメンバーのうち、中国との関係においてとくに重要な役割を果たした竹中繁、加藤タカ(東京YWCA総幹事、1887~1979年)、田村俊子(文学者、戦時下の上海で華字雑誌刊行、1884~1945年)、高良とみ(米国で博士号取得、女性運動家、1896~1993年)、そして陳衡哲(中国初の女性大学教授、作家1893~1976年)の5人の活動に焦点をあて、彼女たちの活動の意義と限界を検証する。 2021年度は、①個別の人物調査、②月曜クラブ・一土会の調査の作業を並行して行い、③研究打合せを3回行った。①については、竹中繁、加藤タカ、高良とみなど個別の人物についての情報収集を研究分担者・研究協力者とともに行った。②については、国会図書館関西館での調査を中心として資料収集を行った。③については、研究打ち合わせを4月18日(ZOOM)、6月12日(ZOOM)、12月26・27日(京都)と3回を行い、2022年1月23日には中国ジェンダー研究会と共催で、北海道大学の清水賢一郎氏に「婦人平和協会と中国―戦前~戦中期、日中民間交流の一側面」講演会をZOOMで行った。また、3月30日に中国ジェンダー研究会と共催で「中国の娯楽とジェンダー」出版記念学術交流会をZOOMで開催した。同時に、研究に必要な基礎資料の一つである、月曜クラブの活動記録(竹中繁が残した記録ノート)をWordに入力する作業も進め、すでに完了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
21年度は、予定していた①個別の人物調査、②月曜クラブ・一土会の調査、③研究打合せとも概ね順調に進んだ。①については、研究分担者・研究協力者ともすでに入手していた資料を中心に分析を進めた。②についても国会図書館等での調査を行った。ただし、予定では中国の上海図書館、台湾の中央研究院近代史研究所等での調査を行う計画であったが、新型コロナウイルスのために渡航が難しく、結局国外での調査は行えていない。資料収集についてはもともと21、22年度にかけて行う予定としていたため、22年度に引き続き資料調査の可能性を探る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度においても、①月曜クラブ・一土会の調査、②個別の人物調査の作業を並行して行い、③研究打合せを年4回行う予定である。①については、竹中繁資料の調査を中心として行う計画である。竹中繁関係者の個人宅所蔵であるため、新型コロナウイルスの状況に目を配りつつ、訪問人数を減らす、資料を借り出して外で閲覧する等の工夫をして調査を行う予定である。さらに国内では婦選会館・朝日新聞社の調査を、国外では中国の上海図書館等、台湾の中央研究院近代史研究所、またアメリカのスワスモア大学(ペンシルベニア)等での調査を行う予定である。 最終年度となる2023年度には、論文の構想を整えて執筆作業を行い、論文集刊行につなげる。資料収集の進捗状況によっては、論文集刊行の時期について再検討が必要になる可能性もあるが、いずれにせよ現在の資料収集および論文構想を引き続き継続して行い、最終的な成果につなげる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行のため、本来計画していた国内外での資料調査が不可能となった。具体的には、東京での竹中繁資料調査、台湾の中央研究院近代史研究所および上海の上海図書館等での調査を検討していたが、すべて延期となった。また、研究打ち合わせも1対面で1度行ったものの、ほかはZOOMでの開催を余儀なくされた。2022年度は、コロナの状況をうかがいつつも資料調査の可能性を探り、国内外ともに視野にいれて調整する予定である。
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