2022 Fiscal Year Research-status Report
近代日本の女性とナショナリズム:メディアによる奥村五百子像の拡散過程に着目して
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21K12519
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
山本 彩乃 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (10897820)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジェンダー / ナショナリズム / メディア / 植民地主義 / 奥村五百子 |
Outline of Annual Research Achievements |
〔具体的内容〕1)資料収集の継続;2022年度は前年度に引き続き、コロナウィルス感染拡大に伴う諸制約が継続する中、日本や韓国、台湾のオンライン上のデータベースや近畿圏の図書館などにおいて資料調査を行った。さらに、京都などの古書・骨とう品店において奥村五百子や愛国婦人会に関する資料を収集してきた。2)資料分析;さらに、収集した資料の分析をすすめている。具体的には主に戦前戦中の一般新聞に掲載された奥村五百子関連記事をデータベース化し、そこにあらわれた五百子の表象をそれぞれの記事が書かれた時代的背景を考慮しながら分析を行った。これは次年度にも対象資料を他のメディアに拡大しながら進めている。3)研究成果の発表;2022年9月11日に開催された日本宗教学会第81回学術大会において「国家のシャーマンとしての奥村五百子:研究史の死角をふまえて」をテーマに個人発表を行った。本発表では、伝記や新聞などメディアに現れた奥村五百子が、国家の政治から分離された存在としての女性を精神的次元で国家に接合する役割を果たしていることを明らかにした。 〔意義・重要性など〕本研究はまず奥村五百子研究の基礎となる資料収集を重要な課題として位置づけており、制約がある中でも資料収集を継続できた意義は小さくない。また、収集した資料を用いて分析を行いつつ、その成果を学会で報告し、他の研究者と意見交換の機会を得たことで、より研究を深化させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により海外での資料調査が実施できなかったため、国内所在の資料や国内からアクセス可能なデータベースを使用しての資料収集にとどまったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施できなかった韓国・台湾での資料調査を精力的に行っていく。 同時に国内での資料調査をさらに進めていく。 また、学会での口頭発表のほかこれまでの成果を論文として学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス流行により国外での調査が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。2023年度以降は国外調査への制約が緩和されるので、未実施の国外調査を精力的に実施する計画である。
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