2022 Fiscal Year Research-status Report
ダイヤモンド検出素子を用いた放射光ビームのパルス・モード計測と伝送線路の耐熱化
Project/Area Number |
21K12530
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
青柳 秀樹 公益財団法人高輝度光科学研究センター, ビームライン技術推進室, 主幹研究員 (20416374)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光ビーム位置モニタ / パルス・モード計測 / マイクロストリップライン / 放射光ビームライン / ダイヤモンド・ヒートシンク |
Outline of Annual Research Achievements |
大型放射光施設SPring-8の偏向電磁石ビームラインに比べ格段に放射光強度の高い挿入光源ビームラインにおいて、パルス毎の位置計測を可能とするパルス・モード計測型光ビーム位置モニタの性能評価に取り組んだ。今年度は、(a)位置感度の評価、(b)分解能の評価、及び、(c)ユーザー運転中のTop-up入射時のビーム振動の観測について以下のような成果が得られた。 (a)位置感度:蓄積リングのビームシェーカを用いて水平/垂直方向にベータトロン振動を励起することにより評価して、蓄積リングのシングルパスBPMとの比較において、垂直方向、水平方向ともに良い線形性を確認した。 (b)分解能:帯域 4GHzのオシロスコープにて、水平 4.5 μm std/垂直 4.5 μm std の値が得られた。オシロスコープ内蔵の機能を利用して帯域をデジタル的に 200MHz に設定した場合、水平 1.7 μm std/垂直 1.2 μm std まで高められることが分かった。ローパスフィルターを用いるとハルス長が伸びるが、バンチ間隔が広い場合には、高速 ADC でパルス波高を読み出しやすくなることが期待できる。 (c)入射時のビーム振動観測:ユーザー運転中に2種類のフィリンングパターンでパルス毎のビーム振動を観測した。"203 bunches mode(バンチ間隔23.6 ns)"においては、蓄積される全パルスを個別に観測した。また "11/29-bunches + 1 bunch mode(5 mA孤立バンチ)" においては、入射パルスが入射後約500μsに亘り振動が継続することを観測した。 これらの結果は、本モニタの実用性を示すものである。また、これらの評価実験を通じて高熱負荷に対する耐久性も確認することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射光強度が格段に高い挿入光源ビームラインにおける評価実験において、光電子放出型の検出器を利用した場合でも、目標とする分解能(10μm以下)が得られることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
放射光ビームラインにおける光位置モニタは、電子ビームの動態を診断する役割だけでなく、利用実験に直接的に資することも求められる。今後は、高周波回路を改良することなどで、より効果的なパルス毎のビーム位置の信号生成を目指す。
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Causes of Carryover |
光電子放出型の検出器を、放射光強度が格段に高い挿入光源ビームラインにて評価実験を実施したところ、目標とする高い分解能が得られることが示唆された。そのため、高額となる新たな検出素子の製作を一時中断して、高速データ処理ソフトを導入などに振り分けた。これにより、精度の高い性能評価実験が可能となり、目標の分解能を達成できることを確認した。今後は、新たなモニタをビームラインに導入するために助成金を使用して、高周波回路の改良することなどで、より効果的なパルス毎のビーム位置の信号生成を目指す。
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