2023 Fiscal Year Research-status Report
360度映像によるバーチャル書架回遊の効果検証―コロナ時代の図書館利用能力形成へ
Project/Area Number |
21K12597
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小野 永貴 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (10592868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (50261813)
佐藤 翔 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90707168)
高野 和彰 日本大学, 芸術学部, 講師 (70831105)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 全天球映像 / 電子図書館 / 書架回遊 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、筑波大学附属図書館研究開発室プロジェクトの一環として研究を実施する体制を構築し、実際に同大学附属図書館情報学図書館から協力を得て図書館現場での撮影および実験を行った。具体的には、2023年9月~11月の間の計7日間にわたり、同大学附属図書館情報学図書館にて、Matterport Pro2カメラを用いた全天球画像の撮影を実施し、撮影結果の編集作業を行った。次に、全天球画像をマップ上へ合成するにあたり、Matterport社のクラウドプラットフォームを利用して、VRモデルを生成した。最終的な走査点数は705点であった。さらに、生成されたVRモデル上で、テキストや動画・画像を用いて図書館のもつ機能(自動貸出機,電動集密書架,OPAC検索用端末 等)を解説する注釈タグの付与を行った。これは、図書館の各機能に関する説明を読みながら回遊する場合と、読まずに回遊する場合の両効果を検証することを目的としている。 そして、これらの作業を通してコンテンツのプロトタイプを研究開発した後、利用実験を開始した。具体的には、コンテンツをノートPCのモニタに表示し、マウスを使用して移動する形態で、大学生に対する利用効果を検証した。実験の想定シチュエーションとしては、制限時間内にルート図に沿ってVR空間内を歩いてもらうことで、現実世界で行われている図書館ツアーを仮想的に再現するよう試みた。利用前後で質問紙調査を行うことで、コンテンツ内での書架回遊による効果や影響を分析可能なデータを収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に策定した推進方策において、3年目は「一定の規模の書架に対する撮影およびコンテンツ開発を行い、その評価実験の実施および実験データの複合的な分析まで至ることを目標」と示していたが、その大部分を計画に沿って遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は補助事業期間を延長したため、改めて最終年度を迎える。最終年度にあたり、実験の結果や文献調査等の結果を総合的に解釈し、最終的な成果論文を対外発表することを目指している。具体的には、以下の手順を予定する。 まず、令和5年度に撮影済みの、筑波大学附属図書館情報学図書館を対象としたコンテンツのプロトタイプについて、さらなる加工・編集を行い利用効果の向上に資する改善を図る。次に、令和5年度に実施した同コンテンツの利用実験について、より詳細な結果データの分析や追加の検証を行い、コンテンツの利用効果や他種の図書館サービスと比較した特性を考察する。最終的には以上の成果をふまえ、新たな図書館サービスとして果たしうる役割や波及可能性、および持続可能な運用手法の実現性について、総括的な議論および提言を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は撮影実験を行ったが、研究代表者の所属キャンパス内の大学図書館から協力を得られたため、撮影に向かう旅費や撮影機材の輸送費等が発生しなかった。また、撮影人員としても、修士論文として本研究課題の部分的テーマを担う大学院生の協力を得られたため、人件費等を想定より抑えることができた。 今後の使用計画としては、補助事業期間最終年度を迎えるため、成果発表のための論文投稿費用や校閲費用、学会発表旅費・参加費等の使途を中心に執行予定である。また、これらの成果発表に向けた研究業務補助を担うリサーチアシスタントの委嘱費用や、成果システムの社会還元に必要な物品費・消耗品費等も支出予定である。
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