2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K12857
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森 元斎 長崎大学, 多文化社会学部, 准教授 (40846052)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アナキズム / 人類学 / デヴィッド・グレーバー / J・C・スコット / 思想史 / 哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、哲学の枠組みで「具体性」と「相互扶助」概念を中心に研究を行なってきた。哲学や思想史では概念の内実やその概念の変遷を中心に検討することで、その概念がもつ射程の広がりを普遍的に議論ができるよう提示するのであるが、その一方で、実際のフィールドワークの事例を基に、アナキズム的な要素を、具体的な事例において見出す観点が不足していたことは否めない。 そこで申請者は、アナキズム思想をフィールド・ワークに裏打ちされた人類学の観点から探究してきた研究者の記述をも射程とし、そこからいかにアナキズム思想が抽出されるのか、あるいはそこにアナキズム思想が見出すことができるのかを検討課題とし、アナキズム思想における思想と人類学の交差関係について明らかにする。哲学・思想の側面としては、ブライアン・マッスミといった思想家の著作を検討する一方で、人類学の側面としては、デヴィット・グレーバーやアンドレイ・グルバチッチの著作における哲学・思想史の受容関係を明らかにし、両者の共通項を「具体性」や「相互扶助」の観点から共約可能なものとして接続し、理論だけでなく、実践面においても両者をつなぐことができる、新たなアナキズム思想の確立を目的とする。 そこで今年度はグレーバーとウェングロウの『万物の黎明』の読解や、ロジャヴァ革命の研究から人類学と哲学・思想の交差を研究した。前者においては、近藤和敬・森元斎・酒井隆史「討議『万物の黎明』から新しい哲学がはじまる」『『万物の黎明』を読む』河出書房新社などを発表した。また後者においては、ドイツ・ハンブルクでの研究会発表Motonao Mori「Der Mensch der Moderne und die Rojava-Alternative」や、森元斎「土と音楽」『情況』情況出版や森元斎『死なないための暴力論』集英社インターナショナルなどを発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は人類学と哲学・思想の交差としてグレーバーをはじめとした論文や書籍を読解し、諸外国においても研究会や学会発表を行うことができ、また論文や共編著、単著単行本などを刊行できたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな論点として、哲学・思想史と人類学の交差のみならず、グレーバーとウェングロウが提示してきたように、考古学との交差も検討していきたい。また引き続き哲学・思想史と人類学との交差として検討すべき論点として、人類学者とのダイレクトな対話を通じて、アナキズムの議論を検討していきたい。
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Causes of Carryover |
アナキズム運動における人類学とアートの関わりについて検討を行うために2023年度に招聘を予定していたレオニダス・マルティン教授(バルセロナ大学)氏招聘のための予算を若干確保しておくべく、執行を見送った。次年度において、マルティン教授を招聘し、研究会を執り行う予定である。
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Research Products
(12 results)