外国人保護者のコミュニティ参加を支援するための基礎的研究

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K13044
• Research Institution: Osaka Ohtani University
• Principal Investigator: 杉本 香 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (50760823)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 外国人保護者 / コミュニティ参加 / 多文化共生 / 日本語教育支援 / 日本人保護者

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、日本で子育てをする外国人保護者が、園という保育者や他の保護者と関わる場であるコミュニティに参加する際に、何が障壁になっているのか、どうすれば日本人保護者とのつながりができるのかを解明することを目的としている。そのために、（１）外国人保護者にとって、日本社会での子育てや園生活において戸惑うこと、コミュニティ参加への障壁となる要因は何か、（２）受け入れ側の日本人保護者の外国人保護者に対する意識はどのようなものかを明らかにする。
研究の初年度にあたる2021年度は、上記の（１）を明らかにするために、①外国出身の研究協力者募集に先立って、通訳・翻訳者を選定し、研究の説明・同意書や同意撤回書、フェイスシートなどの翻訳及び研究協力者集めを依頼した。次に、②研究者の所属大学の倫理審査を経たうえで、外国出身の研究協力者を募集し、フォーカス・グループによる調査を行った（中国出身4名×1グループ、ベトナム出身4名×2グループ）。そして、③②の音声データの文字起こし作業を行った。
調査で得たデータは現在分析中であるが、コロナ禍による影響で、保育所や幼稚園で保護者会や懇談会、大勢が集まるイベントなどが開催されず、外国人保護者にとってはそれ以前にも増してコミュニティに参加しにくい状況であることがわかった。
調査・分析と並行して、外国人保護者の支援を行っている人々との勉強会の場を9月と3月にオンラインで設け、意見交換を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2021年度は、フォーカス・グループによる対面での調査を4回行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大による緊急事態宣言発出等により、予定を何度も変更せざるを得ず、調査を行えたのが9月と11月になり、それ以降の研究の遅れが生じた。

Strategy for Future Research Activity

2021年度に予定していてできなかった中国出身の保護者に対して、そして2022年度に予定している様々な国からの出身者に対するフォーカス・グループによる調査を行う。また、2021年度に収集したデータの質的な分析も進める。
並行して、日本人保護者へのアンケート調査の実施、外国人保護者の支援を行っている個人・団体への聞き取り調査及び勉強会、そして日本語教育関連及び保育関連の文献調査を行う。

Causes of Carryover

新型コロナウィルス感染拡大により、予定していたフォーカス・グループによる調査をすべて行えず、その分の通訳者への謝金、研究協力者への謝礼、交通費等が使用できなかった。まだ行えていない調査は2022年度中に行い、分析も進めて学会発表も行う予定である。