2021 Fiscal Year Research-status Report
技術を活用したヒトにとって心地良い顧客接点のデザイン
Project/Area Number |
21K13365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋田 敏 京都大学, 経営管理研究部, 講師 (10760514)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 顧客接点 / サービスデザイン / 人的資源 / 技術資源 / 資源活用 / サービス設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
技術の発展に伴い、サービスの電子化・自動化が進んでいる。具体的な場面として、宿泊サービスでは、チェックインの自動化・省人化の取組が加速している。チェックインにおける接客を題材に、サービスプロセスの中で顧客が使用する電子機器と同場面におけるサービススタッフによる対応が顧客の印象に与える影響を評価するための調査・分析を行った。顧客が使用する機器A/Bとスタッフの対応における姿勢として、能動的態度/受動的態度とを設定し、(1)機器A・能動的態度、(2)機器B・能動的態度、(3)機器B・受動的態度、の3パターンのプロセスを構成した。実験のために実際のビジネスホテルのフロント設備とスタッフにより、顧客役の調査協力者が3パターンのチェックインプロセスを体験し、それぞれのプロセスに対してアンケートに回答した。分析結果として、サービスに対する評価に差は見られなかった一方で、接客について印象に残った場面は、パターン(1)と(2)で類似しており、(2)と(3)では大きく異なっていた。すなわち、顧客が使用する機器とそれに応じたプロセス・活動ではなく、スタッフの態度によって違いが生じている。この結果は、同じ人的資源・技術資源を利用する前提でも、その活用の仕方により顧客にとっての効果が変動することを示しており、本研究が取り組む「ヒトと技術との両資源を効果的に活用した顧客接点のデザイン」の重要性を定量的に示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書において「実験室実験」と「実務の調査」の二軸で本研究課題を進めることを構想した。本年度は、「実験室実験」の側面としては、宿泊サービスのチェックインを想定した仮想顧客を対象とした評価に関する調査・分析を行った。「実務の調査」については、同宿泊サービスを対象に、顧客が一連のサービスを利用する上での業務の洗い出しや業務上で必要となるスキルの観察を行った。両軸それぞれの活動が進んでおり、各活動で得られたデータに関する成果を国内・国際の学会において報告している。 2022年度の活動に向け、実顧客によるサービス利用に関するアンケート調査のデータ整理を進めるとともに、現場での調査のためのサービス業者との調整を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
全体の方針としては、引き続き「実験室実験」と「実務の調査」の二軸で研究活動を推進していく。実験ではインタラクションやサービス提供の仕組みの評価を行う。引き続き取り組んでいる宿泊サービスでの次の実験では、特定の接客場面において対人で行う場合と機器利用を通じて進める場合とで、顧客が自身の情報の取扱いについて感じる印象・評価についての分析を計画している。分析中の実顧客によるサービス利用に関する調査の結果に応じて、評価指標や実験設計の調整を行う。
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