2021 Fiscal Year Research-status Report
児童の情動コンピテンスに関する教師の認識枠組みの検討
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21K13570
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
芦田 祐佳 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (10896640)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 情動コンピテンス / 小学校教師 / 認識 / 行動的特徴 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,児童の情動コンピテンスに関する小学校教師の認識枠組みを明らかにするために,本研究で実施する質問紙調査の内容を精査した。具体的には,情動コンピテンス,社会情動的スキル,非認知スキルといった情動に関わる能力や有能性の理論を幅広く整理した。これにより,児童の情動コンピテンスに関する教師の実践的な見方が,先行研究の理論的な知見とどのように共通・相違しているのかを明らかにでき,教師特有の認識を示すことができる。また,上記の能力や有能性を現職教員や教員志望学生がどのように理解しているのかを検討した海外の研究を整理し,質問項目を作成した。この先行研究の整理により,質問項目の具体的な立て方について有意義な示唆を得ただけでなく,海外の教師たちの認識の特徴を明らかにできた。これは日本の教師が抱く認識を明らかにする本研究の知見を相対化するうえで役立つものと思われる。 さらに,本年度は作成した質問紙が調査に耐えうるものなのかを確認するために,教員志望学生に対する予備調査を実施した。その結果,いくつかの項目において回答の難しさ・不安定さが見受けられたため,その項目の見直しを行った。なお,この予備調査を通して,現職教員のみならず,教員養成段階の学生においても児童の情動コンピテンスについて独自の認識を有していることが示唆されたため,当初の研究計画にはなかった教員志望学生に対する本調査も実施する方向で,質問項目の精査と協力者の選定を行った。令和4年度は,現職教員に対する本調査と教員志望学生に対する本調査を実施・分析し,結果をまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は,令和3年度に現職の小学校教師に対する質問紙調査を実施する予定であった。しかし,新型コロナウイルス感染症の影響により未だ教育現場が逼迫した状況にあったことや,昨今の教師の多忙化問題を受けて,質問紙調査の実施にあたっては教育委員会からの助言をもとに慎重に実施することとした。また,本年度は,研究者自身の所属異動があり,研究協力を依頼する自治体や学校との関係構築を新たに行う必要があった。以上の理由より,令和3年度は質問紙調査の実施を見送り,令和4年度に実施することと計画を見直した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,令和3年度に作成した質問紙を教育委員会・学校に送付し,調査の実施方法を関係各者と相談しながら質問紙配布・回収を行う。回収された質問紙は個人情報の保護を徹底しながら,入力業務を外部に委託し,効率よく作業を進める。質問紙の入力が終わり次第,すぐに分析にとりかかり,年度内に分析結果を論文等にまとめることを目指す。
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Causes of Carryover |
当初は令和3年度に実施予定であった質問紙調査を令和4年度に見送ったことで,質問紙の印刷代や配送料,ならびに質問紙の入力業務委託費などを持ち越すこととなった。 また,新型コロナウイルス感染症の影響により,国内外の学会やシンポジウムがオンライン開催となるなど,旅費が必要でなくなったため,次年度の大会参加に繰り越すことになった。 さらに,質問紙調査の分析が終わり次第,その結果をふまえてインタビュー調査に入るため,インタビューの協力謝礼などが必要となる。
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