2021 Fiscal Year Research-status Report
インプロを通した「教師のあり方」の変容プロセス解明と教員研修プログラム開発
Project/Area Number |
21K13585
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
園部 友里恵 三重大学, 教育学部, 准教授 (80755934)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | インプロ(即興演劇) / 教師教育 / パフォーマンス / ファシリテーション / 教員研修 / 演劇的手法 / 学級づくり / 教職課程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、教師たちがインプロ(即興演劇)を長期的に学ぶことによって促される「教師のあり方」の変容プロセスを捉え、そして、そこから得られた知見をもとに、インプロを用いた教員研修プログラムを開発することである。本年度については、「インプロ×教師教育in三重」プロジェクトを立ち上げ、同プロジェクトをアクションリサーチの場として実践研究を進めてきた。 具体的な内容は次の通りである。 ①文献レビュー:インプロ、演劇教育、演劇的手法、学級づくり・学級経営、教師論・教職論、質的研究法に関する文献を精読し、レビューを進めた。特に、戦後日本の教師教育において「演劇」がいかに活用されてきたのか、インプロが教育との関連でいかに活用されてきたのかを整理した。 ②アクションリサーチ:プロジェクトの一環として、10月より月1回、現職教員および教員をめざす大学生を対象としたオンラインによるインプロワークショップを継続し、映像記録及びフィールドノーツを蓄積した。各回、4~8名程度の現職教員や教員をめざす大学生の参加があり、インプロのワークショップの体験を通して、インプロと教師のしごとの重なりについて省察・ディスカッションを行った。 ③成果の報告:文献レビューの中間報告として、日本教育学会(8月、「戦後日本の教師教育における演劇の活用状況」(単独))、日本教育方法学会(9月、「「インプロ教育」の実践及び研究動向」(単独)にて研究発表(いずれもオンライン開催)を行った。また、本研究に関連する編著書(インプロ教育に関するもの)の出版が決定し、「教師教育とインプロ」を主題とした論考の執筆を進めた。また、来年度以降、教職をめざす学部生を対象とした実践研究を開始するため、その実態把握として、彼らが教職にいかなる魅力や不安を抱いているのかを調査し論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、本研究では4月より対面によるインプロ実践を継続することを想定していた。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、対面での継続的実施が困難となった。 そこで、前期には文献レビューを中心に進めていった。この成果は2件の学会発表により報告された。 また、後期に入る前の研究協力者とのディスカッションを踏まえ、対面ではなくオンラインによるインプロワークショップの実施を行うこととなった。その結果、三重県外からも現職教員の参加が複数あり、オンラインの良さを活かしながら実践を継続しデータを蓄積することができた。 オンライン開催には意義を見出すことができる一方、やはり学校現場が対面中心で動いている以上、インプロ実践も対面で行うからこそ得られる気づきも少なくない。しかし、今年度を通して、現職教員とともに「対面」でのインプロ実践を行うことに大きな障壁を感じることとなった。その理由は、主には、現職教員がコロナ禍に在籍学校外での活動参加が制限されがち(自粛も含め)という点にある。そこで、次年度以降、現職教員だけでなく、教職をめざす大学生(学部生、教職大学院生)を対象とした実践も視野に入れ、調査研究を進めていくこととし、事前調査を行った。 以上より、「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
①文献レビュー:対象領域を広げながら、引き続き継続していく。 ②アクションリサーチ:2022年度は、「インプロ×教師教育in三重」プロジェクトとして次の2つを進めていく。 a)2021年度のオンラインインプロ実践にて得られたデータをとりまとめ、2022年度夏・秋期に開催される学会にて研究発表を行う。また、夏期に三重大学での対面集中インプロワークショップを開催する予定である(新型コロナウイルス感染症の拡大状況による)。 b)教職をめざす学部生・教職大学院生を対象とした対面インプロ実践を学内にて開始する。 ③成果報告:日本教育学会、日本教師教育学会、日本教育方法学会、日本教育社会学会にて学会発表を行う。また、本研究に関連する編著書についても、次年度内出版をめざして執筆・編集作業を進めていく。
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