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2021 Fiscal Year Research-status Report

軽蔑表出が集団間対立及び対立構造の固定に寄与するメカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 21K13682
Research InstitutionUniversity of Marketing and Distribution Sciences

Principal Investigator

福田 哲也  流通科学大学, 人間社会学部, 講師 (30757737)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords軽蔑 / 感情表出 / 社会的排斥 / 第三者 / 他者批判的な感情
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題全体の目的は、他者への批判的感情の1つである軽蔑感情が、ある人物から特定の属性や集団の人物に示されることがきっかけとなり、集団同士の対立や関係性の固定が生じるのかを明らかにすることであった。
当該年度では、インターネットリサーチ会社を利用し、場面想定法によるオンライン実験を行い、ある集団に属する人物への第三者の軽蔑表出の効果を検討した。具体的には、ある集団に属する人物(ターゲット人物)が軽蔑を喚起させる行動をとり、それを目撃した第三者が軽蔑・嫌悪・怒り・無表情のいずれかの表情を示したというシナリオを参加者に呈示した。軽蔑を喚起させる行動は、福田・蔵永(2021)が分類した3種類の軽蔑生起状況(敬意のない言動・思慮不足な言動・教養の欠如)を参考にした3つであり、ターゲット人物はそのうちの1つの行動をとったという設定であった。またシナリオ上の第三者が示した表情は、軽蔑・嫌悪・怒り・無表情のいずれか1つであり、該当する表情の写真を呈示した。参加者はシナリオを読んだ後、表情表出者に対する印象、ターゲット人物に対する印象やふるまい、ターゲット人物と同じ集団の人物に対するふるまいなどについて回答した。そして各測定変数の程度が、ターゲット人物がとった行動及び第三者の表出感情によって異なるのかを検討した。
その結果、参加者は、第三者がターゲット人物に対して軽蔑表情を示している時は、無表情の時よりも、温かさが低い人物や良くない人物だと評価し、さらにその場から離れようとすることが示された。ただし、ターゲット人物と同集団の人物へのふるまいは、ターゲット人物のとった行動の影響は確認されたが、第三者が示した表情の影響は確認されなかった。そのため第三者による軽蔑表出は、対象となった個人に対して影響を及ぼすが、その人物が所属している集団の他の成員に影響は及ぼさない可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当該年度においては、当初予定していた研究は実施できたが、ある集団の人物に対する第三者の軽蔑表出がもつ影響は、その感情の対象となったターゲット人物に対してのみ確認され、ターゲット人物が所属する集団の他の成員に対しては確認されなかった。ただしこの点は、研究で用いたシナリオに起因している可能性がある。研究で使用したシナリオでは、一時的ではあるものの、研究参加者はターゲット人物と同じ集団に入っていたという内容であった。ターゲット人物と同集団の成員にネガティブにふるまうことは、自身をネガティブに捉えることにつながりうるため、集団の成員とその対象者を切り離して考えた可能性がある。自身とターゲット人物の所属集団に完全に関わりのない場合に同様の結果が得られるのかは確認する必要がある。この点の検証が当該年度においてはできていないため、やや遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

2021年度に実施した研究が開始当初と予測が異なった理由の1つとして、研究で設定したシナリオに起因している可能性が考えられる。そのため、まずはシナリオを変更して、2021年度実施研究で明らかにしようとした点を検討し、暫定的な結論を下す予定である。そのうえで当初より2022年度に実施を想定していた研究として、ある集団に所属する人物が他の集団から軽蔑表出をなされた際に、表出者やその集団に対してとる反応を検討する予定である。

Causes of Carryover

次年度使用が生じた理由は以下の2点である。理由の1点目は、当初想定したよりも実施したウェブ調査に費用がかからなかったことである。2点目は、研究実施時期との兼ね合いから本研究課題に関する学会への参加を見送ったため、結果的に参加費などがかからなかったためである。次年度は、2021年度実施調査で残された課題を解決するための研究を実施する予定であるため、繰り越した費用はそれらに充てる予定である。

URL: 

Published: 2022-12-28  

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