2021 Fiscal Year Research-status Report
子どもの怒りに対する認知行動療法の臨床試験のための基盤研究
Project/Area Number |
21K13737
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岸田 広平 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (10876189)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 認知行動療法 / 子ども / 怒り / 内在化問題 / 外在化問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの怒りは、臨床現場で頻発する重要な問題であり、外在化問題 (攻撃行動) と内在化問題 (不安やうつ) の両方と密接に関連する。しかし、子どもの怒りに対応できる心理社会的介入や臨床査定は確立されておらず、その査定や治療を実施できる専門的知識を持つ臨床家は非常に少ない。本研究の目的は、子どもの怒りに対する認知行動療法の臨床試験のための基盤研究として、査定パッケージと認知行動療法プログラムを開発・整備し、評価者と治療者を育成するトレーニングシステムを構築することである。本年度は、怒りと他の精神症状の関連、外在化問題を測定する尺度の翻訳、子どもの内在化問題と外在化問題に対する認知行動療法プログラムの開発を行った。怒りと他の精神症状の関連については、6-18歳の子ども1867名を対象にした調査研究を実施し、5つのプロファイルに分類されることを明らかにした (Kishida et al., 2021)。5つのプロファイルの中で、怒りの最も高いプロファイルは、内在化問題と外在化問題の両方の特徴を有しており、仮説を支持する結果となった。次に、外在化問題を測定する尺度の翻訳とデータの収集を行った。当該データについては、現在論文を執筆中である。最後に、プログラムで使用するイラストを作成し、認知行動療法に基づく新たな個別プログラムを開発した。現在、倫理審査委員会の手続きを進めており、承認され次第、当該プログラムのパイロットスタディを実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、怒りと他の精神症状の関連、外在化問題を測定する尺度の翻訳、子どもの内在化問題と外在化問題に対する認知行動療法プログラムの開発を行った。当初の計画通り、来年度以降のプログラムのパイロットスタディに向けて準備が進んでいる。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、翻訳した尺度や開発したプログラムを用いて、子どもの内在化問題と外在化問題に対する認知行動療法プログラムに関するパイロットスタディを実施する。倫理審査委員会による手続きを進めており、承認され次第、当該試験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、概ね予定通りに研究を実施することができたものの、世界的な半導体不足によるPCの納品の遅れにより、最終的に少額の残金が生じた。残金については、来年度実施するワークブックとマニュアルの製本代に使用する予定である。
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