2022 Fiscal Year Research-status Report
子どもの怒りに対する認知行動療法の臨床試験のための基盤研究
Project/Area Number |
21K13737
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岸田 広平 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (10876189)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども / 怒り / 不安 / うつ / 内在化問題 / 外在化問題 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの怒りは、臨床現場で頻発する重要な問題であり、外在化問題 (攻撃行動) と内在化問題 (不安やうつ) の両方と密接に関連する。しかし、子どもの怒りに対応できる心理社会的介入や臨床査定は確立されておらず、その査定や治療を実施できる専門的知識を持つ臨床家は非常に少ない。本研究の目的は、子どもの怒りに対する認知行動療法の臨床試験のための基盤研究として、査定パッケージと認知行動療法プログラムを開発・整備し、評価者と治療者を育成するトレーニングシステムを構築することである。本年度は、子どもの怒りの認知的過程に関する研究の論文投稿、子どもの外在化障害の有病率調査、および、子どもの怒りに対する認知行動療法プログラムの予備的試験の実施を行った。子どもの怒りに影響を与える認知的過程については、子どもの怒りの認知の誤りを測定する尺度、および、子どもの怒りの自動思考を測定する尺度の開発を行い、各尺度の信頼性と妥当性の検討を実施した。次に、子どもの外在化問題(反抗挑発症、素行症、注意欠如多動症)の有病率調査を実施し、約2500名の子どもの親を対象にしたオンライン調査を実施した。最後に、子どもの怒りに対する認知行動療法プログラムの予備的試験の実施では、怒りや感情のコントロールに困難を有する児童青年に対して当該プログラムを実施した。現在、すべての対象者について全10回のプログラム、プレアセスメントとポストアセスメントを終了している。今後は、当該研究のフォローアップのデータの収集を進め、得られたデータを分析し、学会発表や論文投稿を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、子どもの怒りに影響を与える認知的過程の検討に関する論文投稿、子どもの外在化問題の有病率調査、および、子どもの怒りに対する認知行動療法プログラムの予備的試験を実施した。当初の計画通り、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、原著者の許可を得て翻訳した外在化症状を測定する尺度に関する論文執筆、および、子どもの怒りに対する認知行動療法プログラムの予備的試験に関する論文執筆を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、計画していた臨床試験が順調に進んだ一方で、新型コロナウイルスの影響による不確定要素が多く、実施者や評価者の雇用が実施できなかった。そのため、人件費として計上していた金額が使用できず次年度使用額が生じた。来年度は、社会的情勢を踏まえながら、臨床試験の実施のための人件費として使用する予定である。
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