2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K13820
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤田 剛 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (80822105)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非粘性流体 / 渦運動 / エネルギー保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元Filtered-Euler方程式の解の正則化パラメータ極限におけるエネルギー変動について研究を行なった。Filtered-Euler方程式はEuler方程式の正則化モデルであり、正則化パラメータが小さいときには、粘性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式と渦運動が近いことが指摘されている非粘性流体モデルである。研究の具体的な概要は、二次元Filtered-Euler方程式の解のエネルギーについて、一般に速度場の二乗積分は発散するため、形式的に正則化速度場の時間変動部分を抜き出し、その時間微分としてエネルギー散逸率を新たに定義することで、正則化パラメータの極限でエネルギー保存するための条件を調べた。結果として、初期渦度が指数3/2より大きいルベーグ空間に属するとき、正則化パラメータ極限において、二次元Filtered-Euler方程式の弱解は二次元Euler方程式の弱解に収束し、上で定義したエネルギー散逸率がゼロに収束、さらに極限解が局所的なエネルギー等式を超関数の意味でみたすことを示した。また、指数が3/2に等しいときには、二次元Filtered-Euler方程式の解の速度場に正則化パラメータに一様な弱い連続性を仮定することで、同様のエネルギー散逸率の収束と極限解に対する局所エネルギー等式が得られることを示した。その連続性に関する条件は、Onsager予想と呼ばれる三次元Euler方程式の解のエネルギー散逸・保存について述べた主張の臨界指数に対応する条件となっていることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では粘性流体の非粘性極限におけるエンストロフィーの変動を調べることが最終目標である。一年目は、Euler方程式の正則化として、粘性流体よりも解析がしやすく、これまでの研究で得た知見も多いFiltered-Euler方程式について、二次元乱流を特徴付けるうえで重要なエンストロフィーとエネルギーの変動について研究する予定となっていたが、結果として、エネルギーについては明らかになったが、エンストロフィーについてはまだ研究途中となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
二次元Filtered-Euler方程式の解の正則化パラメータ極限におけるエンストロフィーが散逸・保存するための条件を渦度の観点から明らかにする。その後、その知見を基に粘性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式の解の非粘性極限におけるエンストロフィー、エネルギーが散逸。保存するための条件を明らかにする。特に、粘性流体における三体渦力学を解析し、非粘性極限における渦の衝突と、衝突時におけるエンストロフィー・エネルギー変動について調べる
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により国内外の出張が一度もできなかったことに加え、1年目は理論的な研究を優先したことにより当初予定していた数値計算で使用するための計算機の購入を次年度に変更したため、次年度使用額が生じた。2年目は次年度請求分と合わせて、計算機と関連機器の購入、国内外の出張旅費、学会の参加登録費、図書などに使用する予定である。
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